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タグ「映画感想」を含む投稿23件]

映画感想:「ゴジラ×コング 新たなる帝国」で気持ちのよい破壊を摂取して元気になる。これがたぶん”整い”というやつ。
この感想文は怪獣映画における人間を気持ちよく消費される資材みたいな気持ちで観る邪悪な人間の書いた文章です。すべてがネタバレ。#映画感想

フィクションの皮を一枚被せて絶対安全圏から眺める全然関係ない人間個体が識別もされない大量の破壊からしか得られない栄養を摂取しにいくぞ、という己の最悪人間性を自覚しながら観る怪獣映画の破壊ほど滋養に富んだものはないですからね……冒頭から最悪キャプションの続きを最悪に続けました。はい。

「ゴジラvsコング」を観ているのでゴジラとコングの関係については「共通の敵がいればそちらを共同で対処するが、そうでない場合はお互いがめちゃくちゃ気に食わない」っていう関係性だと思っていたので、今回のゴジラくんの「ほかの怪獣、みんなきらい!!!!!!!!」っていうヤンキーというかナワバリを荒らされるけもの(というか赤ちゃん……)そのものの振る舞い超好きです。かわいいね、お腹すいたからごはん(原発や他の怪獣)を食べて、ローマのコロッセオでおねむなんだね……かわいいね………「KoM」あたりから比べるとだいぶ原初の生命の本能を取り戻してのびのびと暮らしており、たいへん良いです。そうであれ、怪獣、という俺たちの祈りの体現みたいなふるまいで最高の最高でした。
ジブラルタルから海に飛び込んで真っ直ぐにエジプトを目指すの、「まっすぐいくと、はやい!!!!!!!!!」を体現していて大変良かったです。人間が軍事上の重要点であり地中海の鍵であり……みたいなことをちまちまやってるところに「しらない!!!!!!!」ってどっしりむっちりゴジラくんが飛び込み競泳始めるの本当に健康にいい。体と精神の均衡が整う。ありがとうゴジラ……その振る舞いが俺を助けています………。

コングが虫歯になっている冒頭、栄養を経口摂取する運命の生き物に対して死に直結する体調不良要素なのでものすごく顔をしかめながら観ていたんですが普通に治療されていて笑いました。あるんかい、差し歯。
獣医さんが軽やかな言動とコミカルな動きとやたら良い顔の造形をしているのめちゃくちゃ笑っちゃったんですけど、「人間も食物連鎖の中にいるんだ」みたいなことさらっと言ってたので「あっこの人は人間を頂点として見ていないんだな」とわかって、あれたぶん他の人間が無意識にでもそう思っていない生命の境界線をすでに越えた自覚があるまま、そうでない認識での世界を生きている人だな……という親近感がすごかったです。俺はほかのいのちに対して人間を優先しない人間が好き………。

予告でモスラが出るの知ってたのに劇中で登場したとき爆裂に泣いてしまった。俺はモスラを一番推しています。今日も美しくおありですね我らの女王様。素敵です。好きです。話を何にも聞かずコングを見掛けるや否や「きらい!!!!!!!!」って殴りかかってプロレス始めるゴジラに「めっ!!!!」ってビンタかましてそこに正座させられるの、女王様だけですからね。モスラ………ゴジモスは「KoM」で公式カップリングだとほぼ明示されているので…………戦友でもあるけど……………レジェンダリーシリーズのモスラ、若干造形が蝉の幼虫に寄ってるのだけ「もうちょいもふもふさせてほしいな」と思うけど、全体的に美しく強く儚さも帯びながらすべての人間が自然とこうべを垂れるような威厳に満ち満ちており、あとゴジラをビンタできるので好きです。モスラがいなかったらあのまま地上持ちかもしっちゃかめっちゃか怪獣大プロレス大会になってゴジラが勝ち残って世界が滅びましたからね。
そう、人間個体に興味が薄いのでプロレスというものをいままで一つも嗜まないで来たんですが、そんな俺でも「あっこれはプロレスをやりたいんだな」と直感でわかるくらい大乱闘だったので、多分その方面が好きな方にもちょっと響く要素はあるのかも。

ところでジアとコングが心を通わせていたの、両者に共通する同類の存在が皆無であり孤独、というところにあったと思うんですが、今回はどちらにも直接の血族ではないが同種族の広いコミュニティの存在が明示されて「わ〜〜〜〜〜い」になりました。素直に喜びます。やったね。そしていまいる孤独であった場所から遠ざからなくても、いまと同じ人のそばに居続けても、ただこの世に一人ではないという事実があればそれでよいのだ、と変化を強いられるようなこの現状世界においては「いまのままでもいいよ」というほんの少しの肯定もあってよかったですね。本人が居たいところに居られたらそれでいいのだ、という肯定はゴジラがまたコロッセオに戻っておねむなのと同じで、大変良かったです。

スーコ(名前調べました)、最初は完全にやなやつの下で育ったのでやなやつです、を体現していて子供ながらに小物の振る舞いそのもので「わあ…」になるんですが、コングの思わぬ子育て上手(最初が絶対的な力量差による上下関係の叩き込みとは言え、そこから下剋上してこない限りはいい感じに放任しつつ罠にはめられても(気づいてなかった説もあるが…)食事を分け与え命は助ける)が発揮されてうまいこといい子になったので強く生きてほしいと思います。グレイト・エイプ(これも調べました)側にもいろんな種類がいるわけなのであの一群がコングの仲間たちということになる理解で良いのか……?たぶん良さそうだな………。
シーモくん、白くてむちむちでかわいかったね………ところでシーモって「霜」から名前とられているわけじゃないですよね流石に………?と思いました。ど、どうなん……?こんな俺が思いつきそうなどうしょうもない洒落みたいなやつなの……?本当に……?まだパンフレット読んでませんが永遠の謎であってください。

初手IMAXで観たので次はDolbyを観に行きたいけど行ってる時間あるかな〜、とりあえずレジェンダリーのゴジラシリーズが嫌いじゃない方はでっかい音とでっかい画面で観られるならそうしてください。破壊で元気になろう!!!!
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つらつら

AppleTV+のドラマ「モナーク」二話まで観た。
管理の都合上ドラマシリーズも#映画感想 でまとめさせてもらいます。

お、お、おもしれ〜〜〜!!!!!!!!が最初の感想。まだ二話なんですけどね。あとこの文章を書いている人間はレジェンダリー制作のゴジラシリーズをだいぶ贔屓目に両手叩いて大喜びしながら観る人間です。近々「ゴジラxコング 新たなる帝国」観に行きます。余談。

正直に言って俺は怪獣作品は怪獣を見たいがために観るので、一話は「人間が……なんか人間同士で揉めてる……」みたいな若干の距離感を感じていたのですが(俺には他人への性愛が備わっていないので家族に成っている先は理解できるがそこに至るまでの感情をすべて想像で補っているため性愛に基づく恋愛要素の匂わせをノイズに感じがち。すまんな)、一話の中で行き先が気になる要素がテンポよく展開されるため一話の印象は「すごくじっとりした人間関係の中で本当にささやかに文字通り謎の箱の蓋が開く」なんですけど、そこを越えて二話よ1!!!!!一話で挫けそうな人も二話まで見て欲しい。とりあえずいまそこに俺がいます。ようこそ、テレビドラマ「モナーク」がある世界へ。

二話〜!!!!おかあさ〜〜〜〜〜〜ん!!!!!!!!!!!!(ケンタロウのご母堂のエミコさんを指しています)
エミコさん、英語あんまりわからない(リスニング・スピーキングともに)のに頑張ってケイトと会話しようとするところとか、でも基本英語ができる息子に任せてるところとか、ケイトが笑顔でなんか喋ってたらとりあえず笑顔で頷いてみるところとか典型的な「英語できない日本人」なんですけど演技がうめぇ〜〜〜〜……!!!!!になります。
一話だけみるとかなり受け身であらゆることを飲み込んでうっすら微笑みながら何も言わないタイプの自分をあくまで被害者の枠から出さないようにして責任を回避しているような振る舞いの人に見えて「表立って嫌いにはならない(なぜなら嫌われないように本人が振る舞っているから)けど、そして確かに騙されていた側の人間ではあるんだけど友好の一線は超えない」んですけど、二話!!!!!!二話よ!!!!!!!!!!!!!!
何故なら俺はこう言うタイプの受動的な人が「なんかおかしいぞ」と思ったあとにスッと覚悟を決めて自分の子供だけでも逃がそうと時間稼ぎをするためにとる行動が好きだからです。あのあとなんか危害を加えられていたら俺は本当に石を拳の中に握り込んであの人たちを殴りに行ってしまう。無事であってくれ……自宅で運動する時に観ると決めたのでしばらく次を観ないんですが………。
あとシンプルに家族の思い出を「お母さんも怒ってきた」でびりびりに破いて紙吹雪みたいにするところ、この人にも思うところがないわけではないんだな、という芯の部分を少し見てからの行動なのでなおのこと「お母さん!!!!!!!!」ってなる。

ケイトもそら経験したことを考えたら急に車に乗せられたり、地下鉄の狭いホームに閉じ込められたりしたらああなるわいな……という振る舞いが見事。あと「GODZILLA」の作中で起きた出来事の関係者であるという立ち位置をスッと「実はあのスクールバスに乗っていました」で出してくるの、巧妙だな。だって「GODZILLA」で描写されたスクールバスが一台だけであっても、あの場にいたスクールバスが一台だけであるとは描写されておらぬのでね……そうでなくても「実はいました」の整合性がそこまで乱れないのでうまいことケイトの存在を差し込んだなあ、と感心が先に立ちます。

まあ二話まで観てもケイトとケンタロウのお父さんの最悪人間ムーヴは本当に最悪なので「ええ…………」になるんですが。本当に最悪ですよ、どうぞご覧ください。最悪人間ムーヴでいうと一話のケイト(祖母のほう)もあきらかに場の空気がやばいのに研究を先行してやばいことになるのが無理すぎて「わ〜〜〜〜〜〜」って言った。親が親なら子も子かい、ですよ今のところ。
これどうなるんだろうな………艦船のオタクとしては二話で出てきた駆逐艦がジャングルの中にあるの、めちゃくちゃ興奮しました。そこにないはずのものがあるの、最高。特にそれが艦船だと一番そぐわなくて最高。それで言えば航空機はなんであっても地上には帰ってくるからこのロマンがないんだな……そうか、やはり艦船は人間の「帰るところ」として機能するから、それが造船所でない陸地の上にあるとなんともいえない背景が絶対に存在すると言う確約にもなるわけで、なるほど、良い。
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つらつら

映画感想:俺はこの感情の名前をまだ知らないと思う。
「オッペンハイマー」観てきました。ま〜〜〜じで全然言いたいことが固まらない。#映画感想

まずもって公開前にわりとそこそこ大きな範囲で話題になったネットミームがあったと思うんですが、マジであのミームは最悪だったし、あのミームを観測した上でちゃんと本編を己の目で観に行くことができてよかったと思いました。あのミームが茶化しているのがあくまで「それぞれの映画の内容からおおよその人間が想起されるであろう感情の乱高下」そのものであるところまではよかった、いやそれも微妙ではあるが俺も含めたオタクたちって過剰な言葉をわざと使ってエンタメ的に消費することあるじゃん。この態度自体がめちゃくちゃ最悪なんですけどね……はい………そこについては俺もそうなので何も言えないのですけど、ともかく本編を観せろ話はそれからだ、とずっと思っていた甲斐がありました。

あくまでオッペンハイマーという一個人、一科学者の物語だとは思っていたのであれが手放しで歓迎されたとも思わないし、あの映画を観て原爆やそもそも他人の生命や人生を顔も名前も知らない漠然とした「権力」とかいうものを持っているだけの人間がどうこうしていいと思ってんのか?という強い怒りはさておいて、一個人の物語とするのであればかなり、思ったよりかなり、ものすごくとっても政治の話をしていてびっくりしました。
日々の生活が政治の話ではないことってないのですけど、特に我が家は政治の話を家族間でしなかった(選挙には一緒に行っていたが誰に投票したかを相互に機密として扱っており、話題に出さなかった)家だったし、特に政治と野球の話は他人とする場合にかなりお互いの距離感や信頼が大事になってくる分野の話だからそうそう頻繁にするものでもない日常を送っていたのだけれど、そうだよな、戦争って政治だよな、と改めて思いました。

日々の生活が政治と不可分であるなら、政治と戦争が不可分であるなら、俺たちの生活を本当に注意深く扱っていかないとあっという間に戦争になりうるし、科学や技術の分野それそのものはただの結果であったとしてそれをどう扱うかは人間側に委ねられているのだぞ、という認識が欠如するの、本当に簡単だし自分から遠くなればなるほど無関心になっていくから、ああなるんだろうな。

いままで映画を観てきてスクリーン上でえがかれていることに対してやるせなさとか怒りの方向で涙が出たことなかったんですけど、原爆を落とす都市を選定しているシーンと実験の無音で上がる火柱のシーンだけ、いままで抱いたことなかった感情の、多分あれは強い怒りであったり自分自身が彼ら彼女らと同じ人間であることへの強い嫌悪だったり、とにかくそういった物凄く強くて物凄くネガティブで、それでいて生きていく上で俺や俺の大事な人や俺の嫌いな人間にも俺が思う大事な人たちがいるのかもしれないという可能性を忘れないために楔のように自らの中から決して失ってはいけない、錨のような感情で涙が出ました。
あの〜〜〜〜〜本当にここは言葉を砕かないと全然なんにも言いたいこと言えないという自分の未熟さを全面に出した上で書く段落なんですけど、ま〜〜〜〜〜〜〜じであの選定会議でそういう発言があったのだとしたら本当に本当に嫌です。うるせ〜〜〜〜〜〜1!!!!!!!!!!!!!!って大声出るかと思いましたからね。目の前にいたとしたら拳の中に石握り込んで全力で殴りますよあの人のことを。ただこれは「そこにいる人間たちのひとりひとりを知ることはできないし、知ることはできないから人間を数として扱える」という本当に大切なことがえがかれているシーンでもあるので、どのみち心に刻まなければならない。

これはたびたび言っているんですけど、まずもって世界の大前提として自他を傷つけていい正当な理由なんかひとっつもこの世にないんですよ。理性があるのであればいっときの衝動性なんかに身を任せている場合ではないし、理性があることは人として大事な心を失うことでもないし、他人になにかの破壊衝動を向けたときそれが己に同じ力かそれ以上の力でかえってくる可能性って100%いつなんどきもあるので。自分と他人の区別がついていれば自分と他人は別の個体であってなにひとつそこにお互いを傷つけていい理由がないことはわかるはずなんですけど、そしてそれを文化と呼んできたんでないんですか、という問いかけなのですけれども。
実験が終わったあとの土地を先住民に返すとかさらっと言ってましたけど、それも被爆云々の話を知っている側からすれば最悪も最悪で「最悪…………」って本当に口から飛び出すかと思いました。最悪のフルコース食べてんのか?胸焼けがすごいが?

ただ、表現としてすごいなと思ったのは実験成功後の演説会場で喝采に混ざった本当の悲鳴(なんか一際あの声だけ違うな、という「キャーーー!!!」っていう恐怖とかそう言った方面からの絶叫があった)と、階段上のベンチ(っていうんですか、観客が座る側の……)から人が軽くジャンプしながら飛び降りてオッペンハイマーの方を叩いたりする最後にドサっと右側の方に落ちたのはあれ黒焦げの死体ではなかったですか。これは俺の見間違いかもしれないけど、その前にオッペンハイマーが足元で踏み壊した真っ黒な空洞のひとがたのものと同じ色をしていた気がする。

俺自身について、祖父は二人とも徴兵の年に終戦したのと体が小さくて兵役に合格しなかったのとで戦場に行かずに済んだ家系で、祖母はまだ戦時中のことを思い出すからさつまいもが嫌いなのは知っていて、ほんの少しの食料を兄妹で取り合って殴られたりした話を聞いたことがあるくらいで、全然戦争から遠いところにいる家で生まれて育って、触れたのだって歴史の授業でくらいで、修学旅行は沖縄だったから当然ひめゆりの塔は行ったのですけれどじぶんごととして捉えられたかというと人生経験のなさから全然ピンときてなくて、それでも広島に船を見に行ったときに原爆ドームを見て心臓がぎゅっとなったし原爆ドームを背景に笑顔でピースしながら写真を撮ってる観光客の感情がまったく理解できなかったことはあるんですよ。
他人の考えていることなんか他の誰にもわからないし、だからこそ何を言わずにいるかの選択が重要になってくる人生というもののなかで物は言いよう大スペシャルをやるのが政治で、それは日常生活を地続きなので、どっかの知らん誰かは俺たちをどっかの知らんただの数として扱うことが容易に平易にできるのだから、そっちに世界が向かおうとするなら俺は全力で拳を振るうしかないな、物理的にじゃなくてそれ以外のすべての人道に則った方法で。

無知であることは、ああやってただ数えられるだけの存在になるのだ、という自戒を新たにしました。全然なんもまとまらないね。時間が必要だ。
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つらつら

映画感想:形あるものはいずれ壊れる、諸行無常映画「ウィリーズ・ワンダーランド」。
誕生日おめでとう。#映画感想

ニコラス・ケイジが一言も喋らないホラー………いやこれホラー…ホrッ…………???????映画、「ウィリーズ・ワンダーランド」、観ました。もともと「コカイン・ベア」をおすすめしてくれた職場の先輩がにこやかにすすめてきていたので気になっていました。なおこの先輩は「キラー・ナマケモノ」の公開日に有給を取るタイプの人間。

ホラー映画のよくあるやつを踏襲しつつ主にウィリー側への「ど、どうして………」が絶妙な塩梅で振り撒かれていてすごい好きでした。生きている人間が一番怖いパターンでありつつ、もはやいまの器が無機物なので無機物勝手に動くタイプホラーでもあって、美味しいところをたくさん盛り込んでいながら一つのきちんとまとまった味になっているのいいですね。
ホラーの現場で情事に及ぶカップル、あれは絶対になければならないものなんですか?って爆笑しちゃった。本気の条件反射で大きな笑い声をあげたので、劇場で観なくてよかった。でもキャシー、一番良い子やったやんけ……やたら行動がいちいち色気に満ち溢れているだけで……いやでもまあ…急におっぱじめられる度胸があったといえば………………いやわからん……あとお腹冷えるからもうちょっと長いスカート履くか腹巻きしな。お腹冷えるから。内臓を冷やすな。

リブがウィリーと合流してからずっと「いままでの自分の人生はなんだったんや………」の顔しているし、そりゃ自分の人生を大きく変えた現象に対してあれだけ淡々と対処されたらあの顔になりますわな、と思うし、恐怖を克服するにはそれを上回る恐怖が必要なのだという真理を急に突きつけられたらそりゃ………一番かわいそうなの、リブかもしれんな。たぶんあのニコラス・ケイジ、どっかでキアヌ・リーブスの顔した黒スーツのエクソシストと同業だったりすると思います。一般人の拳があれだけ弱くてどうして一般通過ニコラス・ケイジの拳があんなに強いんですか。

リブの仲間たちも急に大所帯になったなと思った次の瞬間から急に大所帯じゃなくなるのでそのスピード感とスナック感覚に手を叩いて大喜びした。事前情報なんにもなく観たんですけど、ジャンルがアクションコメディホラー映画なんですね、なんだその牛丼大盛りセットにお味噌汁と卵焼きつけちゃおっかな、烏龍茶大きめのやつでみたいな俺の大好きなジャンル名は。好きだな………フィクションでしか許されない人死にと暴力を見て元気を出そう!キャンペーンがあったら真っ先にエントリーされる映画です。元気が出る。

思えば与えられた仕事をきちんとこなし、自主的な計画性のもとで動き、休憩の重要性を理解しながら決してその場にある以上の楽しみを求めず(単に短期的な射幸性に強く依存している可能性もなくはないが……)、不規則かつ断続的に発生する不測の事態への対処ができ、提示した報酬を与えれば余計なことをしないという従業員、貴重ですね。俺は雇わないけど。

死は再生なので死んだ人間どもも殺した人間どももちゃんとあの場で死んでよかったね、って思いました。誕生日おめでとう。いい映画です。
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つらつら

映画感想:「アーガイル」を見て現実と虚構の区別をつけよう。
事前情報ほぼないまま観に行ったら入場特典をもらえた。ねこがかわいい。ねこです、よろしくおねがいします。すべがネタバレ。#映画感想

冒頭の文章は全然意識せずに書いたんですが、よくよく考えてみればだいたい「いまはSafeになったSCPに対するカバーストーリーってこんなかもな」というような全体的にポジティブはっちゃけそうはならんやろなっとるやろがい映画でした。め〜〜っちゃ好きです。あと創作をやっている人間に刺さる要素が多すぎて中盤以降ほぼずっと劇場じゃなかったら手叩いて喜んで爆笑しながら泣いてた。何回か大きめの「だっっっははは」が漏れた自覚はあるので平日昼間の人が少ない劇場、𝑻𝑯𝑨𝑵𝑲𝑺...これは本当に。

いままでのフィクションスパイ映画によくある(あったか?)、モチーフとしてはだいたいやりつくされた要素を「あ〜〜〜〜〜なるほどね〜〜〜!!!!!!」にちょうどよく落とし込んでくるバランスと、映像でみせることの最大限の活用と、「わかるそういうの俺たち全員好き」が全面に出てきていて本当によかったです。俺だってヘンリー・カヴィルの顔したイマジナリー・自己を記憶を失った状態で内在させてことあるごとにお伺いを立てたい。あんなヘンリー・カヴィルの顔したイマジナリー・自己がいたらこの世のだいたいのこと全部自己肯定で乗り切れる気がする。

善性、人間の善性、その性質が記憶によらないという解釈、めちゃくちゃ助かりました。そもそも俺は性愛が限りなくない性質で生きているので、恋愛映画とかは性愛強すぎる人間大博覧会で「そういうのいいです」になっちゃうんですが、「アーガイル」には善意と悪意と強く主張されない(「恋愛感情ってこうでしょ?」という押し付けを少なくとも俺は感じなかった、だからその辺を摂取したいひとにはとてもさらっとライトで物足りない部分としてうつりそうな)恋愛感情とあとはひたすら爆発と爆発と爆発があったので大変良かったです。
お前はフィクションで盛大に爆発があればだいたい喜ぶだろ、というご意見に対しては真面目に正座しながら大いに頷くところですが……はい……好きです………だから「アーガイル」も好き………。

終盤、敵組織のアジトがでっっっっっっっっか原油タンカーなの嬉しくなりすぎて「だ〜〜〜〜っっっはっはははっはは!!!!!」って本当に口から飛び出していったので理性が追いつきませんでした。原油の海でアイススケートをやるな。なんだそれは司先生が見たら泡吹いてひっくり返るぞあそこ(超絶おもしろフィギュアスケート漫画『メダリスト』を読んでください)
そんでもってそれを全部爆破するのはやめてくれませんか!!!!!!!!!!!!!やめれ〜〜!!!!!!!!!!!って方言が思わず出ました。やめてくださいその規模の原油タンカーが会場でその規模の爆発をすると周辺海域がとんでもないことになるんです!!!!!!!実際あれ航行海域によっては公海の場合どこの国の対処も間に合わなくて本当に地球が最悪になるので……本当にそれだけは…………ちょっとツイートした「船のオタクなので助かった部分と船のオタクなので助からなかった部分があり」の、助からなかった部分です。助かった部分はでっかタンカーが拝めたこと。あれ途中に映った救命浮環にIMO番号と船名がっつり書いてあったけど実在船なのか…?実在船を滅ぼせるのか……?が気になって終盤のめちゃくちゃいいシーンなのに気持ちが浮ついていました。
でっかタンカーの甲板、あまりにも船長がありすぎるために消失点が発生するの、良かったです。

大ヒットスパイ小説シリーズがまさか著者が強い催眠(マインドコントロール)によって記憶のすべてを敵組織にいい感じに乗っ取られて過去の任務などについて自分のリサーチに基づいたフィクションを書いていたと思ったら全部事実で〜〜〜〜す!!!!っていう小説家に対しての最悪の「現実と虚構の区別つけろよ」を地でやるの本当になんなのだ………あと制作にAppleが噛んでるの全然知らなくて随所にApple製品出てくるのめちゃくちゃ笑っちゃった。俺はAppleというメーカーに複雑な愛憎を抱いています。「マーダーボット・ダイアリー」期待しているからな。
現場に赴くエージェントにはiPhone 13 Proがお似合いだよってか!!!でもあれヘンリー・カヴィルとジョン・シナの持ってたサイズ完だからPro Maxの可能性もあるんだよな……でっかサイズスマフォがちっちゃサイズに見えるでっかさの人たち………。いいからiMac27インチ復活させてくれiMac24インチでカラバリ増やしとる場合か。話が逸れました。作品全体を通してなんか呼吸が楽だったの、Apple関わってるせいかな………と思うと感謝もありつつ「とはいえ作品にそこまで意見言える立場に御社がいるの嫌だ」にもなり……いやこれ完全に話がそれますね、はい。やめます。

事実は小説より奇なり、現実と虚構の区別つけろよ、俺が先に思いついてたそのアイデア、でも。あたりが主題の大きな部分なのだけれど、これは俺が創作をやっているから抱く感想なのかもしれないけど人間の記憶なんてあいまいだしもしかしたら自分の考えていることは全部他人に読まれているのかもしれないし両親は全然知らない人かもしれないし(まあ生まれる前のことはどうやっても知り得ないので全然知らない人ではあるのだが)なにを信じていいかわからないとき己のフィジカルの強さで生き残ることはできるし、そして人間の魂の善性は、それはすべての根底にあるものだからその上に発達した感情や経験値や現状やたとえ荒唐無稽であったとしても他人にねじ曲げられた習慣やそういったものを凌駕して、他人の頭を踏み潰さないという選択をさせるんだ、という、最後のその着地点、本当に本当に助かりました。
俺は人間の魂の善性をそれなりに強く信じていて、だから余計にそこを手放さずブラさずにいてくれたの、嬉しかったな。好きな映画です。お行儀のよい「キングスマン」って感じ。ところであの最後の急に出てきた「キングスマン」という名前の店、あれは別のスパイ映画と関係あるんですか?作品の例えで他作品の名前出すのあまりしないように心がけていたのですが、こればっかりは作中に出てきてしまったので言及せざるを得ない。

とにかく人間がはちゃめちゃになっているさまを観て元気になりたいときか、はちゃめちゃな爆発を見て元気になりたいときに俺は爆裂におすすめします。
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つらつら

映画感想:いいから飛行機に乗る人間は「ロスト・フライト」を観て衝撃防止姿勢の大事さを学べ。
そして姿勢を取れ。姿勢をとらなければ何も始まらないから。#映画感想

ベルト着用サインの重要性とそれを遵守する大事さと緊急着陸した機体からすぐに離れるべき理由が全部いっぺんにお出しされるので実質「ロスト・フライト」は飛行機の緊急時の安全ビデオと言っても過言ではない。明らかに過言。いやでも言い切れないよ?!な映画でした。

いろいろな映画にありがちな「実はこんな秘密が」とか「国家の重要ななにかが」とか「主人公の衝撃の過去が」とかそういうの全然なくて全部実直にこれがこうでこうだからこう!!!!!って話が進むので大変良かったです。
なんでいちLCCの危機管理担当が傭兵集団にコネクションがあるねん、と思いましたが公式サイト見たら「外部から元軍人の」というくだりがあったので着席しつつ、だからなんでいちLCC会社に元軍人の危機管理担当へのコネクションがあるねん、とは思ったけど真っ当な人間をやっていて良かったです。
みんな、新年なのに仕事してえらいね……という一般社会人(元旦は店が休みだから強制的に休みだが、大晦日も二日も仕事があるタイプの接客業)からの変な連帯感がありました。使っている端末がほとんどWindows端末(Dellとsurfaceはあった)だったのに現場にはiPadが配られていて、あの会社のIT部門のひとめちゃくちゃ大変そうだなって思いました。ファイル共有とかいちいち文字化けしてそうで大丈夫なのかな。あと機長さんの使っていたiPhoneはおそらくiPhone 13 Proです(気持ち悪い特定)、娘さんはPro Max使ってるあたり、かわいい(???????)一緒にApple Storeに買いに行ってくれ。かわいいから(??????????)
細かいところなんだけど新年前後のフライト、管制塔とのやりとりでも機体側と管制官の間でお互いに「Happy New Year!」とかが飛び交うのでちょと期待したがそんなことはなかったですね。あれも場所と人によるからね。かわいいね。

冒頭、サーフボード抱えて「遅れちゃう〜」って言ってた乗客の二人の後ろから「遅れちゃう〜」って機長が小走りで駆け込んでくるのギャグすぎてめちゃくちゃ笑っちゃった。LCCとはいえ機長は定刻で来てくださいな。おもろすぎて劇場じゃなかったら手叩いて大声出してた。
でもだんだん「余計なことをした人間から死ぬ」とか「誰もいないと思ったところで急に後ろからくる」とか、ホラー映画の文脈になってきたので実質ホラー映画だったとしても過言ではない。過言。はい。
PG12なのはあれですかね、首が…落ちるから………?直接見せないけど、引きずられていく遺体からぽたぽた血痕が等間隔で滴るさまとか良かったですね、映像での説明がうまい。

俺は無機物のオタク飛行機部をちょっと駆け抜けてるので、なぜ緊急着陸時に燃料を投棄するか、また飛行機の燃料は両翼に積まれているということを知っているし、着陸して機体が停止した後に急いで離れる必要がある理由も知っているんですが、事前情報なしにあれを見たひとたちがちゃんとその辺を全部わかるのかという疑問を抱いたけど、すごく自然にさらっと短いセリフで提示されていて映画作りがうまい……になります。
回収できないくらいの余計な話が広がらなくて、その場その場の緊張感もしっかりあって、機長さんが初めて人殺しに加担した(その前に乱闘で首を絞めていましたが……)あと「あ〜〜〜〜〜〜〜〜」みたいに葛藤しているのも短いながらあって良かった。
最初は静かに語尾が消えていたファ………も中盤からしっかりとFからKまで発音されていておファック部お嬢様たちの可憐な言葉遣いが堪能できましたね。にこやかになりました。これはツイートもしましたが、俺は全然英語喋れん人なので、あんな状況で銃突きつけられてジェラルド・バトラー顔の人に「英語!喋れるか!!!」て叫ばれたら「ミ゜~~~~~~~~~~」って高音を喉じゃない場所から出すことしかできないのであの人は頑張りました。死んだけど。ハズフォールンシリーズでもあったな、あれ。あと余談ですが俺も接客時にお客様から「英語……話せる……?」って聞かれた時「リトル!!!!!!!」って元気に答えるからより他人事ではなかったのかもしれない……ちょとしか…しゃべれない……聞き取りは……ややできる……………。

現地(?)のひとの英語も多国語話者が最低限必要に迫られて学んだ英語って感じで大変良かったです。謎の言語部分に反応するオタクだから……それで言ったら冒頭のデレと貴重の出身地やりとりもアイルランドの人だから香港出身者とブリテンこき下ろし調で喋って許されるのか……?という感じでこれは笑っていいのかわからなかったところですが、ちょっとおもろかったです。俺は得てして考えすぎ人。

あと武装組織のリーダーが、身内を殺されて嘆くのに身内の枠を出たら何一つ人間に対しての態度してないの、一貫して井の中の蛙でよかったです。申し訳ないが機長一人で揺さぶれるのはせいぜいがその会社くらいであって、その会社もアメリカという国からはおそらく切り捨てられるし、アメリカという国は機長一人の命についてはその判断を迫られたら切り捨てるよ。
それを把握した上で「世界が俺に従う」といっているならあまりにも知っている「世界」が狭すぎるし、過去に複数回の成功体験があったからああいう身代金目当てのことを続けているのだろうし、政府当局へのつながりもあるのであればきっと累積の金額はそうとうなものだったろうし政府要人も何回か攫って殺しているんだろうなあ……そういう小さな痛手の積み重ねで現状を維持し、徐々に自分達へ都合のいい金や武器の周りを積み重ねていっている途中で肥大した人間の振る舞いがあってよかったです。
その中で「自分の身内の喪失が、他人にも同じように起こり得る(そしてそれを引き起こしているのは己である)」という認識が欠如してるの、ああいう治安と倫理の終わった地域を統べる位置にいる人間として必要不可欠な認識欠如要素なのでそのあたりも満面の笑みでました。細かいところの解像度が高すぎる。

全編通して一番頑張ったのは飛行機くん、次に仕事したのが黒電話くん(死んだ)、一番大事なのは飛行機に乗ったら安全のしおりを熟読し非常口の位置を確認し、非常時には乗務員の指示に従い、衝撃防止姿勢をとり、己の荷物については見捨てる覚悟をし、いざというときに己の身一つで走り抜けるというフィジカルの強さであるということが改めて確認できる、いい安全確認映画でした。生き残っていこうな。
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つらつら

映画感想:「ゴジラ-1.0」の端数の部分。
※観たのは2023/11/9です。
事前情報は劇場でかかる予告映像くらいで、特にゴジラシリーズ全般もあんまり知らず(なんなら怪獣映画は「モスラ」シリーズくらいしか知らん。あとガメラ)、「シン・ゴジラ」とモンスターバースの「ゴジラ」シリーズを履修している程度の人間の感想。#映画感想

今回のゴジラの造形、背鰭がウニみたいにとげとげしてて全体がむきむきむっちりで可愛かったですね。俺はすいませんがだいたいの特徴を総合して「かわいい」に収めがちなのでその辺が合わない人はこの辺でこの文章を閉じていいです。

エンドクレジットに推し官公庁たる海上保安庁の名前をありがとう!!!!!!!!!!!!!!ってエンドクレジットで一番良い笑顔出しました。いえあの、予告の時点でも海図だなこれ……みたいな投影がちらとあったので、欲を言えばその辺でちょろっと気配でも出てくれないかな〜、まあ戦後すぐくらいの話らしいので1948年(昭和23年)発足の海上保安庁はまあ出なくてもまあ………みたいな未練ですらない淡い気持ちでおりました。ら!!!!!!!!!!!ちょっと!!!!!!!!!!!!!!名前!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
本当にありがとうございました………途中、ゴジラに向かう最後の作戦会議で机の上に広げられた海図の左下端っこの方にめちゃくちゃ印鑑いっぱい押してあったのふふ……になりました。あれ、海洋情報部の展示で見たことあるなあ………、記憶が捏造されているのかもしれないけど、機密の度合いとかも基本は判子で示されるのでね……ふふ……………ともあれ、クレジットに名前ちゃんとありがとうございました。

あの世界、海上保安庁発足するのかな。もうなんていうか官公庁がそこそこあった一帯がだいたい壊滅しているんですけど大丈夫なのかな。そもそも海上保安庁の発足も北九州あたりでの密航や密輸入が度を越してきて(海軍解体により海上警察機構が公的には滅んだため)やばいね、ってなってGHQが「なんとかしんしゃい」て言ってきたところから始まるんですけど………。
あと海保のオタクを浅瀬でちゃぷちゃぷながらやっている身としては海保発足後も海軍出身者と海運(民間)出身者でソリが合わなくて大変だったみたいな話をよく聞くので、あの人たち全員海軍出身者だしそれが「民間」って言い張ってるのをなんともいえない顔で見ていた自覚はあります。あの…………あなた方を民間と言ってしまうと最後の方で来てくだすった曳船のみなさんの…立つ瀬が…………………でも水島くん以外、特に曳船隊の人たちがゴジラに敬礼してなかったのはよかったですね。

というかあの敬礼も全然意味がわからなくて「????????」だったんですが、あれは海軍のことを知ってたりするとなんかわかったりするんですか?最初から最後まで理不尽に踏みにじられた敵側だったじゃん……?それとも米軍の艦艇も沈めてくれたから?それなら人間最悪性がすぎるし政府に人のこと言えんが……それとも初代からシリーズを踏襲していたらわかるものなんですか?全然わからん……ゴジラ自体もビキニ環礁での実験で巨大化した?のか?という推測はできるけどそれより前に存在して元気にやっていたし、小笠原諸島とビキニ環礁だいぶ遠いですが……みたいなこう……たぶんこの辺は初代シリーズからの履修が必要な気配を感じています。なんというかこのあたりは俺があの作品におけるゴジラの意味合いと立ち位置を全然把握できていないからな気がする。
基本的にすべての怪獣事象は自然現象と同じだと思っていて、人間のことわりではまったく関係ないところから急に出てきて通過していく、その通過に人間が巻き込まれているだけという前提でいるのでこう…人間とゴジラ……みたいなところを把握するのにあまり良い視点じゃない自覚はあります。

これは某所でも言ったんですが、生き残ること・生き延びること・誰も死なないことをテーマの中心に据えているのは良いのですが、だからといってじゃああれだけ壊滅的な被害を受けたそこに巻き込まれたヒロインが生き残っていて、それ以外の無名のひとたちが生き残っているかどうかを完全に不明にする意味ってなに……?になりました。全然わからん、俺はゴジラのこともこの作品のことも全然わからん。
常々、人の生き死にの軽率さはフィクションでしか許されないから……!って大喜びで手を叩いてますけどあれは生命が軽んじられるのを楽しむことで「現実ではこんなこと一個もやっちゃなんねぇ……」って強く決意を新たにする運動みたいなところがあるので、あの最後の首筋のアザ?みたいなのの意味とか意味深な続編にいけそうな余白とか、全然こう………ときめかない………ときめくに足る要素が全然なくて……もうちょっと考察の余地の断片をくれ……情報をくれ………………。
本編の考察を深める余白がある作品も多々ある中で、今回の場合はその余白がいわゆる工業製品における無駄なバリみたいな意味での引っ掛かりしかなくて「ヒロイン生きてるならなんかもっと生き残ってもよかったろ市井の人たちがよお!!!!!」ってなりました。でもあんなミッション・インポッシブルみたいなことさせられてたヒロインすごいね。頑張ったよ、あれできるのトム・クルーズくらいだと思ってた。そんなことはなかった。話がそれました。

ヒロインと主人公が軽率に恋愛でくっつかなかったの、恋愛感情じゃない人間同士の生き残りあいだ〜って嬉しくなってたんですけど、中盤で結婚の話が出てきてて「うへ……」になりました。あの、異性との結婚が人生のゴールの一通過点になってる世界観はわかるんですけど、別にそうしなくても今まで生きてこられたのをいまさら……?みたいな、これはおそらくを通り越してほぼ確信的に俺が世間一般で言う(異性)結婚によるあらゆる法的な何かの庇護下に入らない立場だからですけど、なんかこう……うん、まあこれは俺の話なので良いです。別にあの昭和の世界でそれをやれって言うわけじゃないしね。あのときは、そして今に続くまでずっと、近しい感情のある男女は結婚を視野にいれるもんだんだよな……うん。怪獣映画を観にきて人間がごちゃごちゃやってると「はよゴジラ出てきてくれ」になってしまうのは悪癖です。よくないです。はい。あとそれで言ったら敷島の家の表札が「敷島」だけで、お隣さんの太田さんちが「太田澄子」ってフルネーム表札なのも「おわあ」になりました。敷島の家は敷島とそれ以外(でも「敷島さんのところ」に内包され、無視される「大石」典子)で、太田さんちは太田さんしかいないのだ…………太田さんも最後の良心を見失ってなくてよかったね…表に出す感情のバランスがすごくよかった。

終盤で急に水島くんがハシゴ外されて「俺も乗せてください!!!!!」って叫ぶシーン、大変よかったですね。あのときまで水島くん自身は「戦争帰り」という共通言語を持った人たちに「いさせてもらっていた」ことを急に突きつけられるのでその傷つき、よかったです。
あと敷島が「俺の戦争はまだ終わっていない」って言うの、「ゴールデンカムイ」で見たやつだ……になります。結局、あの人たちは戦争に行って帰ってきたと言ういくつかの境界線を跨いでいるけど、残ってた(残らざるを得なかった)ヒロインや太田さんはずっと日常の延長に戦争があって空襲があって……をやってきていて、たしかに「あの日」「あの夜」などの区切りはあるのだろうけどここからここまで、という境界線を明確にするのは難しくて、その辺の齟齬……齟齬だ…………になりました。ここでいう境界線というのは例えば「引き揚げ船に乗った」とか「日本についた」とか「飛行機が離陸した」とかそういう明確な自分ごとの事象(自発的な行動)によって起こったものを言います。「戦争帰り」という共通言語、めちゃくちゃ概念としてはいいな、と思うんですけど自分では真正面から取り組もうとは思わないですね……。

そんで最後のさあ……曳船さんたちがいっぱいくるじゃん………あそこで全然大型の船がいないのよね……でっかい船、だいたい徴用されて沈んでるか引き揚げやってるからいないんだろうけど……その辺がぐっときてしまい、ぐっときて………そんで全員に明るい希死念慮があって、ぐぅ………となります。何かの大義名分のために死ぬことへの気持ちよさ、憧れって人間どうしても抱いてしまうし、それを強制させられてた人間たちの戦後なので、それはそうという感じで奥歯を噛み締めてしまうね。

ゴジラさんの背中が青く光って、熱線を出すときにぐっと押し込まれるギミック良かったです。もっといっぱい言いたいことあるんだけど、とにかく時系列と作中の時間帯がわからなくてせめて夜明けの話してるなら日の出のカット二秒でも入れてくれ……になりました。その辺の情景説明(言葉がいらない)がうまい映画を最近いっぱい観たから、観客としての勘が鈍っているのかも知れない。
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つらつら

映画感想:「ザ・クリエイター/創造者」に見る人間は愚か!滅ぼ!の欲求。
タイトルの通りです。全てがネタバレ。言いたいことがありすぎて何にもえいてない。#映画感想

本編に関して言いたいことがめ〜〜〜〜〜〜〜ちゃくちゃ膨大にあるんですけどそれよりなによりすべてを差し置いて一個だけ言わせてもらって良いですか?500ポイント太字のなんならイタリック体で書いてあると思ってください、ここから下。

一瞬で100万人も死ぬような最悪核兵器を、ニューヨークとかいう人口密集都市のど真ん中で開発すな!!!!!!!!!!!!!


すな!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

フォントサイズの調節ここまでで大丈夫です。
いや〜〜〜本当まじであの、そう、冒頭からそのツッコミを誰もしてなくて、もしかしてそのときのニューヨークは人口過疎だったんですか?って思ったけど繰り返し繰り返しものごとの始まりとして膨大な人間の死者が……という情報をお出しされるので「そもそこの立地に決定した人間がバカだが?????????????????」しか出ず……なに………?止むに止まれぬ事情とかあったの?ニューヨークでしか産出されない希少な鉱石とか出たんですか?
途中でケンワタナベが「あれはAIのミスではなくコードミス、ヒューマンエラーだ」みたいなこと言ってましたけどそもそもそこで開発研究を進めようと決定した人間のエラーに決まってんだろうが………になっちゃった。たぶんそれを人間側もわかってるからAIのせいにして分断を煽りたいんだよね……いや知らないけど……もう冒頭からその調子で人間がすべて愚かですが立て続けにお出しされるので、常々日常生活内にうっすらとした希死念慮に近いけど何か違う「そろそろすっと消えて無くなってしまいたいな」の欲求がごりごりに刺激されてしまい、そういう欲求がある人は観るタイミングに気をつけないと安易に引っ張られます。俺がそうでした(昨日の気圧の余波で体調がよくなかった)はぁ……はぁ………人間が………愚か…………。

話の内容はありがちと言っていまえばそうなのかもしれないけれど、あれを「ありがち」に収めるにはあんまりにも人間愚かすぎて人間が次世代を残すのは自分たちの壊した生態系を可能な限り回復させて綺麗に後始末して片付けて一斉に滅びる準備をするため、みたいな執拗な人間の愚かさがあって、お、おわあ……おわあ…………ってずっと言ってました。
愛とか絆とかね、そう言う繰り返されて擦り切れたようなうすっぺらいものではなくてね、もっと人間の行動対行動による愚かさと愚かさのぶつかりあい、奪って奪われて自分自身から奪い続けて相手の肉体も魂も傷つけて記憶はちゃちな記憶媒体にコピーされて、最後に「死ぬ」ときも己の肉体から無理やり引き剥がされてボロボロの再生機みたいな中で死を自覚するんですよ。
人間にしかできない愚かさの極まる残酷な行為、誰も彼も自分勝手で他人のためにという過信を振りかざして子供をひとりぼっちにする、そういう、でも、それでも愛してるよっていう言葉を別れの言葉に選ぶときの本心は本当で真実でかけがえがなくて、天国で、会おうな………俺たちは……天国で…………………。

これは最悪IFのことなんですが、本編後、結局アルフィーは人間もAIも愚かで滅ぶべきという思想をうまく隠して人類が平等に全員せーので滅べるものをAIと人間で手を取り合って開発して(表向きは環境の保持や改善とか)自分の大切な人を奪った軍人たちや軍事企業関係者をうまい具合に合法的な被験体にして(違法でやると天国へ行けないから。被験体のひとたちは悪人なのでわたしたちの天国にはいないはずなので)いっさいがっさいのすべてを綺麗に片付けたあと、地獄でジョシュアと再開して隣にはマヤもいて三人で「天国にしては変だな」みたいなこと言いながら地獄ではっぴ〜〜〜〜にこやか生活して欲しいです。

俺たちは全員天国に行けない。
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つらつら

映画感想:「イコライザー THE FINAL」に見る、マッコールさんと人間の善性。
ちゃんとしてそうなタイトルをつけましたが、本当に文章にまとまらないので箇条書きでお送りします。2作目の感想もまだ書き終わってないのに………一応前作観てますの意思表示。#映画感想

・よくないイタリア語の語彙が爆裂に増える。
・マッコールさん最後ちょっとリズム感がないのかわいい……
・俺は一般的な住居に存在しうる武器の中で火かき棒が一番好きと言うヘキの開示をせねばならんですね。
・マッコールさんに猶予なんか与えたらマッコールさん側から猶予を削りにくるに決まってんだろ。
・パスタ食ってる場合か。
・そこガラスなのぉ!?
・寝ている真上をベッドと同じ面積ガラスにするの、正気の沙汰ではない(悪人なので正気ではないんですが……)
・明日とかヌルいこと言ってっから明日の方から来ちゃうんじゃん。
・寝ない子だれだ(訳:永眠が来るぞ)
・坂道が多いから転んでも仕方ないね。いろんな転び方があるね。
・脚が長えひとは走るのも速いんですか?(憲兵さんめちゃくちゃ足速かった)
・魚屋さーーーーん!!!!!!!!!!!!!
・マッコールさんの生前葬やってんのかと思っちゃった。
・無理やり手動で開けた扉を本来の自動で開けていくマッコールさんはギャグなんですか?
・マッコールさんりんご代払った?
・車に撥ねられそうだなって思ったら車に撥ねられて笑っちゃった。
・本当に運転手の人が可哀想だな………保険が全額降りてほしい。
・ス゛ー゛ザ゛ン゛!!!!!!!!!!!!!!!!!!
・なんて攻めにくく守りやすい地形なんだここ……盤石の地形をしている。
・マッコールさんが船に乗っていたので身構えましたがそれどころではなかったので事なきを得ました。
・マッコールさん…………
・マ゛ッ゛コ゛ー゛ル゛さ゛ん゛……!!!!!!!!!!!!
・でもその杖の担ぎ方は一般的な動作ではないことだけお伝えしておきます。
・パスタ食ってる場合か!!!!!!(反芻して出る二回目)
・マッコールさんが印刷所の人だったら動く締切なので俺たちは誰も同人誌を落とさずに済むのに
・サッカーで地域ぐるみではしゃぐのかわいいね
・バイクでノーヘルでその速度出して最終的に命が保障されるのトム・クルーズくらいだと思うんだが………(案の定死)
・人の手首を物理的に切断しているときに「し〜」じゃねえのよ
・地震が来ない地域の設計をしている建築だ………
・「イコライザー」はつまり階段の昇降は健康にいいということを伝えたい映画では?
・善性によって生じたマイナスにマイナス(マッコールさん)をぶつけてプラスにするみたいなことがずっと起こっている。
・マッコールさんに対しての締切日時設定は自分の生命に対する締切日時設定ってこと………
・マッコールさんくらいになると悪人の死に様を観察するのに物理的な椅子がなくても平気。
・マッコールさんによる銃床での床カツカツ急かし。
・夜道にマッコールさん(訳:必ず死ぬこと)
・だから子供のお迎えに関しては本人確認をしっかりせえとあれほど1!!!!!
・それみたことか!!!!!!!これ一作目も言ったな。
・こんなに感情移入できない葬式も初めてだな………
・街のひとたちーーーーーーーーー!!!!!!!!
・ジオのご家族、つまりけっきょくあの街から出る=マッコールさん(絶対の守護)がいないだから将来的にあの街で閉じて生きて行くしかないってことで許せねえな…………………………だからイコられたわけですけれども……………
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つらつら

映画感想:「イコライザー」から学ぶわくわく人間工作教室。
#映画感想
マッコールさんによる日常に潜む危険予知反面教師映画でしたね。そういうんじゃないんですけど、昨日観た「コカイン・ベア」とはまた違ったスナック感覚(しっとりクッキー系)で人が死ぬ映画でした。テンションが上がります、俺は人間性が最悪なので。

ところで俺は歳の差とか性別差とか全然属性が違うのに同じ真夜中のダイナーにいる、くらいの共通点からうっすらと継続していく関係性が好きなのでアリーナ…!!!ってもう親心を抱いていたのですが、マッコールさんがそれ以上の善性と人間の持てる暴力を武器に強火でことを成していったので、俺はただ悪人が死ぬのを「文房具って武器になるんだな(ジョン・ウィック進研ゼミ)」「ホームセンターは人間の倫理と理性で抑えられているだけの武器庫だからマッコールさんにたいへんお似合い」「警備員の人〜〜〜〜〜警備して〜〜〜〜〜〜(うちわ)」「船が爆発しましたが!??!!!!!!!!!!!(船が爆発します)」「港での大規模爆発火災はちょっとご遠慮いただいてもろて………(港での大規模爆発火災が起きます)」「ほれみたことか!!!!!!!!!!!!(ホームセンター内で人間の倫理と理性がなくなります)」「け、警備員の人1!!!!!!!!!!!!!!」など言っていることしかできませんでした。

職場の人間と関係が悪化しない適当な距離を保ち、夢がある人間を応援し、力を貸し、悪人に対してはまっすぐに自分の善性をぶつけていくマッコールさん……これは人気が出ますわ…………殺す時はしっかりさっくり殺すし、とどめの前に少し時間を作るのは殺す側への反省を促す時間を作っているのかなあ。そうだったら善性に基づいているだけの人間最悪行動コンプリートなので大喜びします。だれかの正義に対抗するのは別の誰かの別ベクトルの正義であるので、あの悪人たちは自分たちのことを正当性があると思っているし、マッコールさんも自らの正義でもってお互いをぶつけ合っているのでやっていることは特に合法ではないというのが絶妙な匙加減で良かったです。いやまあ……本人の保管している貴重品を本人に許諾を得た上で開けてるしまあ………許諾の取り方がたいへんに強引というだけで……そこに合法じゃなさが挟まるだけでまあ………手続き的には………表面上の手続きにおける合法性は遵守するんだから遵法精神どうなってんだろうな……めちゃくちゃ強いんだろうな……わかるよいやわからん。なんもわからん。

自分の負傷を煮詰めたはちみつで手当するところ、あんまりにもセンシティブで「ここがPG12ってこと?」という最大の胡乱が口から飛び出しました。ちがうよ、血がいっぱい出て危険予知行動が間に合わなくて(マッコールさんが仕事できすぎるから)ちょっと人がたくさん死ぬからだよ。よくないことオンパレード。明るくないシーンのすべてが反面教師。俺は映画「処刑人」のアイロンで傷口を焼くシーン(前後に各人の無理やり手当ライフハックが続く)でちょっとダメな方向に扉を開いた人間だぞ、そこにそれをお出しされたらダメな方向に扉がもうちょっと開くしかないんですよ。でもあの……傷口周りのはちみつは舐めない方がいいよマッコールさん………ぺろしないほうが…いいよ…………かわいいけど…………お茶目だけど…………。

序盤のシーンでホームセンターって全部加害可能な部品しか売ってないよな、という多大な偏見を垂れ流していたらラストシーンの最終決戦場がホームセンターで爆笑しました。本当に爆ぜるように笑ってしまった。ほれみろ!!!案の定だ!!!!!!!
ところでアメリカのホームセンターは有刺鉄線を売ってるんですね。いや日本でもそうか………ビバホームとかあるか……その辺の売り場に俺がいったことがないだけで………あまりにも物騒なマッコールさんと相性が良すぎるし、いずれくるであろうこういうときのためにホームセンターで働いていたら嫌だな……と思いました。どこまで計算なんですか?
とりあえず2作目を観て、最終作を劇場に観に行こうと思います。
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つらつら

映画感想:「コカイン・ベア」にみる、はるか懐かしの北の大地の情景。
2023/10/18に観ました。#映画感想

あまり真面目なホラーと真正面からのグロが得意ではないので、気にはなりつつも職場の先輩の一押しがなかったら観に行かなかったタイプの映画でした。それ以外の部分を啜りにいくつもりで手羽先の軟骨周りのコリコリした部分を咀嚼する姿勢です。
95分でサクッと観られるスナック感覚の、スナック感覚で人間が死んでいく映画でしたね……でもちゃんとホラーの作法があって、笑えばいいのか怖がればいいのかわからんまま終わりました。思ってた人が生き延びて、思ってた人が死んだので生死判定むずかし……まあ全員死ぬのかなと思っていたのでこんなに生き残るんだ!?の驚きがありました。
劇中音楽が好きな感じの曲ばっかりで楽しかったし、静かに音を聴かせるところはちゃんと余計な音がなくてメリハリよかったです。音響でいえば負傷して息も絶え絶えの森林警備隊員さんの鼓動が緊迫するシーンでだんだんBGMを占領したところに、聴診器を口元に持って行って「熊が」っていうところも音の使い方を知っている人のやり方で満面の笑みになりました。
案内所に刑事さんが到着したとき、車から出て一回車内に戻ったとき(刑事さんが案内所を見てないとき)に案内所内から血まみれの手がバン!!!て窓ガラスを叩くところ、そして刑事さんはそれを見ていないからそのあと外側からのショットで窓に血まみれの手形がついているところ、ホラー映画の作法ですごく良かったですね。

熊が本気出して走れば車に追いつくのも、木登りができるのも、嗅覚が鋭いのも、母グマ(メス)が子育てをするのも多頭産なのもちゃんと生態をなぞっていて、なんちゃってよくわからない生物ではない熊だったので、道民は熊の生態そのものに怖すぎて泣いてました。だって……あれが市街地に出るんだもん…………こわ……えーん……泣いちゃった。映画冒頭に「事実に基づく」っていう断り書きが入る映画の視聴歴が「オンリー・ザ・ブレイブ」だけなのであまりのギャップに情緒がどうにかなりそうでした。
登場人物が多い割にさくさくと死んでいくので、スナック感覚というのがぴったりくるのですが、それぞれの視点から描いたらとても濃厚なサスペンスだったり、麻薬の売人のひりつくようなノアールだったりができそうな要素をたぶんに含んでいるのに、これは「コカイン・ベア」だから特に深い掘り下げもなく普通に人間は死にます。と言う感じでとても……警察官のお姉さんが裏切り者だったところとかめちゃくちゃいいじゃん1!!別角度のドラマで見せて!!!!!!ってなりました。でもこれは「コカイン・ベア」だから普通にそんなことどうでもいいんですよね。
誰かの人生は本当に誰になにも伝えることなくあっけない外的要因でどうとでも終わってしまう、という自然の摂理をそのまま人間側にぶつけてくる物語でとても良かったです。まあ……あれが市街地を闊歩してるので……道民は泣いてしまうんですが………道民って括ってるけど熊が出てくる土地のすべての人間は観るときにやや留意をした方がいい。タイトルとあらすじでネタバレには当たらない情報だろうから普通にあの…気をつけてください……道民じゃなくても泣いちゃうとおもうけど……道民はひとしおなので…………いやわからん、一度互角に熊と渡りあって生き延びたひとなら完全にフィクションとして楽しめるのかもしれないけどいやわからん……俺は熊と遭遇したことはまだないので………話が逸れました。

たぶん話の流れ的にそんなことないんだろうけど勝手に伏線に感じていること、ヘンリーが先に木の幹に二人のイニシャルを掘っていたから、ディーディーのもともとの聡明さと呼応して絵の具や服を足跡として残していくのに繋がったのかなあとかなんとか。たぶんそこまで考えてないと思うよのパターンではあると思います。ちょっとクマの脅威がのっぴきならない道民たちに観てもらいたいですね……感想を聞きたい…………。
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つらつら

映画感想:「ジョン・ウィック:コンセクエンス」で楽しむわくわく工夫教育番組感。
#映画感想

今回も極めて楽しくフィクションにしか許されない人の殺し方の工夫百選みたいな映像を最初から最後まで楽しんできました。フィクションの暴力、純粋であればあるほどた〜〜のしいな!!!!って俺の中の子供がきゃっきゃきゃっきゃする。人間性が最悪。
3作目の最後、だいぶぼろぼろのぼろだったから冒頭から元気な姿を見られてよかったです。でもそのあとからボロボロになっていくんですけど……でも思ったよりボロボロじゃなかった。ゴミ箱の上にぶち落ちたりしなかったから綺麗な死に様でしたね。
以下、とりあえず言いたいこと。
・なんだそのトンチキな弓道場は。でも射手の前を横切るのは真田広之が悪いよ。コウジが悪いよ。
・なんだその国立新美術館の外観をしたコンチネンタル大阪は。
・その梅田駅はどの梅田駅なんですか……?????これが横浜駅だったら崎陽軒の店舗で現在地が特定できたのでなんの問題もなかった。
・あの背景にある槍の飾りみたいなの絶対使われると思ったのにノータッチで寂しかった。
・室内近接戦で弓使う意味 is なに!?
・至近距離戦で弓使うのレゴラス以外で初めて見た。アキラさんはだいぶ昔の先祖にレゴラスいませんか?
・野菜とか魚介類ってちゃんと書いてある冷蔵庫が武器庫だったとき声出るかと思った。そんな雑で誰でも考える収納の仕方があるか。あと剥き身の刀はやめてやれ……なんか…鞘とか…………白鞘でもいいから入れてやれ………湿度管理完璧なんですか?あんな厨房のそばで?固定資産税とか減価償却とかどうなってるんですかコンチネンタル大阪は。
・事前情報でバレではないけどバレみたいな、コンチネンタル大阪でのアクションシーンで飾られている工芸品とかは全部本物なんだよ!って制作者がドヤのテンションで語ってたインタビューみてだいぶ萎えていたんですけど(ものを大事にして欲しいので)、国立新美術館のコスプレしたコンチネンタル大阪があんまりにもネオンでギラギラすぎて結構霞んでてシーンとしては楽しめました。まあ破損を伴うシーンに本物使う意味は全然一生わからないんですけど……。
・ネオンで言えば「初志貫徹」はいいとしてその光り輝く牧野は誰なんだよ!??!!!!!
・ラストシーンも含めると結局なにしても復讐や暴力は虚しいって話ですか……?まあ死に様は生き様なので、ジョン・ウィックにとってはあれが一番良かったんだろうな。スーツを脱ぐの、いままでのこだわりとかプライドとかそういうものを全部脱いで、「あの侯爵を殺す」という純粋な一つの目的しかない魂のままの姿みたいで美しかったね。あと最後一発撃ってなくない…?って思ったらその通りで大喜びでした。30歩の距離で致命傷ではなくとも肉体からは外さない男が、10歩の距離で外さないわけがないのよ。
・たぶん2023年にかけての映画界隈でのトレンドは「車両の両扉紛失フルオープンのまま観光名所をドライブする」なんだと思う。
・「路上で突発的に予測不能な乱闘が発生しており、あきらかに加害の意図を持って運転者両側に人間が投げられた」場合の運転手への判決、前例がなさすぎて法曹界のひとびとの苦労を偲んだ。
・コンシェルジュの人〜〜〜!!!!!!!!推しでしたがまあ当然のように死にました。ただし日本公開前に役者さんご自身がご逝去あそばしているのでそこへの心の動きは終えているところあったので最後までありがとうございましたの気持ちです。スピンオフドラマ観ます。
・ちらっと見かけた他人の感想で「殺すことが目的だから三時間ずっと虚無」みたいな感想があって「ほ〜〜ん????」(ジョン・ウィックシリーズを人間がごちゃごちゃと死んでいくのを楽しむ映画だと思っている人間のきもち)と思ってたんだけど、あれは復讐とか暗殺とかそういう行為に走る人間の全てが虚無であるし人間はいつか死ぬんだよという物語でもあるのでそれ以外のなにかを求めていると確かにね…という感じ。一理ある。
・そういう意味ではヘレン・ウィックが一番幸せな死に方をしたのだな……残していく当事者にしかわからない苦しみはあったろうけど、ケアのために子犬を残すこともできたし、愛した人を愛して、愛した人から愛されたまま死んだから………ジョン・ウィックもそうですがそこに至るまでありすぎるので………愛した人を愛したまま、愛された人から愛されたまま、からっぽで死んだのがジョンウィックです。
・なぜか最後のウィンストンの「ダスヴィダーニャ」(ロシア語で「さようなら」ニュアンスは「また会おう(再見)」に近いらしい)だけ聞き取れてそれに一番びっくりしました。畳む

つらつら

映画感想:高度に発達した菌糸類の世界は宇宙と区別がつかない。
「素晴らしき、きのこの世界」を観ましたの感想。#映画感想

きのこ、食べ物としては全く一切ほぼ全部を受け付けなくて(ぎり舞茸とえのきがいける)、幼少期から「俺たちは別々に生きていこうな」ってもののけ姫みたいな一方的決別をしていたんですが、食べ物ではなくもっと大きな幅広い視点かつきのこたちが持つ細胞や神経への作用に対してのピンポイントな視点が同時に存在している化学や医学からのアプローチはめちゃくちゃ面白かったです。
ただ俺は以前に地球環境系ドキュメンタリ(NetflixがYouTubeで公開している「Our Planet」シリーズ)を観ており、海洋環境についてクラゲが取り上げられた際に「人間の役に立たないから研究が盛んではない」ということを情報として持っているのでその辺に関しては「おあぁ……(人間に有用な部分があるからこうやってあらゆる人たちが研究をしている)」にもなりました。

途中できのこの成分が癌に効く、という要約するとやば代替医療みたいなくだりがあるんですが、それもきちんと前段階として「きのこが持つ幻覚作用が人間にどう作用するかの研究の一環であるみたいな段落があるし、研究者自身が「敬意と注意を要する」ってきちんと言ってくれているので良かったです。
幻覚作用のあたりはどうしても科学的にまだ観測できないようないわゆるスピリチュアル、超人的、言葉にできない体験、とかそういう類の話になってしまうので折り込むの難しかったろうな、と思うけれど、主題としてとりあげられている研究者の人が過去にマジックマッシュルームを規定量かもわからず摂取した結果ずっと悩まされていた吃音がそのあとから収まったという体験がある人なので、これは視聴する側での留意や確認がつどつど必要なやつだな……と思いました。ドキュメンタリと言ってもね、人間が喋ってる分には多大にその人の主観が入っているので、その辺をきちんと観る側が情報を選別してから信じる信じないにつなげていかないといけないところありますからね。人間が出てこない動物や植物に関してはそのへん主観が伝わらないからまた別の留意が必要なんですけど。
あとその人が読んで感銘を受けた本の著者がエキセントリックドラッグキメキメ模様みたいなきのこ柄のTシャツ着てて手叩いて笑った。いいですね。

上記のらへんで語られる「きのこ由来の幻覚作用がアルコール依存症の改善に有用」からの「それが世間一般に広まってしまい、米国政府が規制に動く」までの物事の流れがあまりにも人間すぎて「人間は愚か………」が口から飛び出してくるんですが、今持って世界は常にそうやって動くし、俺たちがまったく正確な情報に触れられているかというとそうではないし、そもそも研究途上で弾き出された結果としての情報はその時点での結論でしかなくて今後もずっと変わっていく可能性や検証によって覆る可能性がずっとあることをきちんと把握していなければいけないんだな、と昨今の身の回りを見て思います。
そして余生における優先順位を考えましょう、とまで言われた癌患者さんが幻覚作用を摂取して(医師監修のもとでやってる合法的なやつです)言葉にできない体験をしたときの感想がすごく良かったです。自分は愛されているし、自然は愛でできていて、そのなかの一つでしかなくて、すべてはつながっていて、自然とはいずれ死ぬものだから死ぬことが怖くなくなるっていう、きっとずっといつその時が来るかと怯え続けていたひとにとっての真の安寧にほど近いものが得られるのなら、とてつもなく注意は必要だけれど本当にそれを必要としているひとたちに届くといいなあと思いました。一つの情報しか得ていない素人一般人の感想だけど。
愛と死と生物としての自然との連続性、一見関係がなさそうですべてがつながっていて、人間が自然に頓着しないということは翻って人間がいずれ身を滅ぼすことになるという、全部連なっていることがらの輪郭がなんとなく見えるか見えないかの違いなんだろうな。

本題と全然関係ないような気がするんですが、けっきょく世の中のあらゆることの解明ってこの映画に出てくるような何か一つのことに熱中し、取り組み、試行錯誤を厭わずそれをマイナスな行為だと思わないひとびとによって為されていって、もちろんそうでない性質のひとが理性や義務で取り組むこともできるけれど、そうじゃないひとたちに圧倒的に天賦の才と読んでもいい有利さがあって、肉体や精神的なことで失われることはあっても心身ともにそこそこ健康であればその熱意や注意は損なわれることが基本的にはなくて(一回創作やってても心身の均衡ですっ転んだからめちゃくちゃ予防線貼ってしまうくだり)、そういったひとたちをネガティブな意味での呼称(オタクとかいろいろ…もろもろ……直接的にキモいとか言われるし……)を用いて一括りにするひとたちって、なんとなくの偏見だけどスポーツやその時持っている若さなどのこれから衰えて失われていくことがある程度約束されている要素の中に自分を見出したひとたちなのかなあとぼんやり思いました。

なんにせよ、人間にとって有用な分野が今後も伸びていくといいし、一見なんの役にも立たないけれどなんかやりたかったから、で研究が続くような社会が今後もずっと続いて欲しいなと思いました。
「理解すれば興味が湧いて、興味が湧けば守りたくなる」という言葉がものすごく良かった。あと幻覚成分が世間一般に広まるあたりで「フラスコの外に出る」みたいな言い回しを原語でしていてめちゃくちゃ良かったです。
きのこ、人間の生き死になんかに全然振り回されないまんまこのまま地球上を生き延びて欲しい。俺たちに構わずただ淡々と存在していて欲しい。言われなくてもしているから、今後もずっとそうあれ。畳む

つらつら

映画感想:金属生命体による自発的な同時多発交通事故は健康に良い
「トランスフォーマー/ビースト覚醒」の最初から最後までネタバレを含みます。タイトルちょっと意味わからないかもですが、アクションシーンのことです。#映画感想

推しが!!死んだが!!!!!?????
いえ、これについてはもうトランスフォーマーシリーズ実写版全作品、その作品で好きになったキャラが死ぬという脅威の致死率100%が更新されただけなので全然良いんですけど、よくないが?!?!?!!!!!!!!!よくないが!!!!!!!!!!!!死ぬな!推し!!!!!!!!!!!!
エアレイザーさん……大好きだったのに…………………しかも帰宅して調べて知りましたけど声、ミシェル・ヨーじゃん…そんなの格好いいに決まっている………オプティマスプライマルとの戦友感もすごくよかったですね…とても……俺はあそこに関係性を見出しましたよ……まあ…死んだんですけど…………………どうして………………。

一旦本題に戻ると、俺が人間と人間以外の種族が出てくる物語に求めているものって「人間の世界のことわりなんか知ったこっちゃないよ〜」という人外(あえて人外と一括りにします)側の全然噛み合わない行動理由で生じる人間への理不尽さなので、その点で言えばトランスフォーマーシリーズは全実写版がすべからくそれなので大好きなんですね。
今回ももれなく「俺たち公共の施設(壊滅する博物館)とか知りません」だったし「追っかけられてる!逃げなきゃ!(大破するパトカー。まあよくある)」だったしめちゃくちゃよかったです。前情報予告くらいで何にも時代設定とか知らずにいったので急に1994年をお出しされて「ん?!い、いつ!?」になりました。この世に存在はしていたんですけど全然覚えていないくらいの年代だな……世界の雰囲気がわからない。でも変に時代が最近のせいでノイズに感じるモブの行動(スマホで撮影する行為とか。まあそれが薙ぎ倒されるのは観てる分には大歓迎なんですけど)がなくって、すっきりとした環境で金属生命体たちの動きに集中できたのはあります。むしろそのためなのかな、変に人間をちょこまかさせると金属生命体たちが困るので。いいな、人間以外の種族ファーストの姿勢、好きだな(そうではないと思うよ)

本編中盤からクライマックスにかけてペルーの自然豊かな森林でどったんばったんおおさわぎ(けものフレンズ)だったのできゃっきゃしてました。なぜなら俺は古代文明が好きだから、マチュピチュにも当然心をときめかせているから。遺跡、いつぞやのピラミッドみたいにぶっ壊されたらどうしようと思ったらそこは比較的平穏で「そんな凶悪な山があるか」という凶悪な山が生えてたので安心しました。もうあの塔が出てくるところLotRの二つの塔でしたね、オルサンクではないです。
塔で思い出しましたけど、どうしてトランスフォーマーシリーズのいわゆる悪属性側って車のデザインとかあらゆるデザイン面で「悪!!!」みたいな嫌なデザインしてるんでしょうね。あの斥候というか小間使いロボ(犬みたいな形の壁とかから出てくるやつ)も口の中にそんなギザギザ要ります!?みたいなデザインだし、なんかもう暴力に全振りしましたっていうデザインでいっそ気持ちがいい。見ていてわかりやすい。逆にそういうのじゃない、オートボットやマクシマルたちに近いデザインで悪役みたいなのも出てくるのかな。それはあれか、二作目でやったザ・フォールンがそれにあたるのかな。一応初代プライムのひとりではあったし。この段落ずっと「リベンジ」の話してる……。

細かいところだと最初の主人公が面接を当日キャンセルされるくだりとか、インターン生のエレーナに自分の服のクリーニングという明らかに業務外のことを押し付け、その上で手柄を横取りする上司とか(エレーナの遅刻に関しては原語の方で「three times」だっけ、とにかく複数回目であることが示唆されていたのでそこに同情はできんが……良いように捉えるならあんなふうに毎日遅くまで研究のために居残りして疲れて寝てしまって生活がぐだぐだとも取れるけどそこは生活してもろて…にちょっとなる)、人間社会でどうしたって避けられない構造上の抑圧にぐえ…となるんですが文字通りそれをぶち壊す金属生命たちたちの構図がいつ見ても美しい。
「バンブルビー」の続編の扱いらしいのもさっき調べて知ったので、「バンブルビー」の内容を思い出すのに必死なんですが、確かにあの映画の続編ならオプティマスが人間を信用していなくてもおかしくないし、まだ自分の故郷への帰還にやっきになってる時点なのもなるほどな、なので時系列に違和感なく溶け込むのがうまいですね。本当に映画作りがうまい。
最後のGIジョーのくだりだけわからなかったんですけど、過去にクロスオーバーしたことがあるらしくて、次回以降いつでもクロスオーバーできるような伏線だったぽい…?わかりませんが双方の作品にとって良い結果になるといいな〜。

ミラージュ、とても好きだっただけに最後の最後で「あ!?!?!!!!!そうなる!?!???!!!!!!!」ってなったし、途中で自分の一部を人間に装着できる形状で貸し出すのも伏線だったので気持ちがよかったです。画面上に写るもので回収されていない伏線がないのでは?映画作りがうまい。
あとバンブルビーが一回死んだのでマジで「俺の推しを殺す力がビーにも及ぶことある!?」になりましたが、予告映像で上空から落下しながら戦闘に参加するシーンを見ていたので「あこれ途中で生き返りますわ」になりました。なんでエアレーザーさんは生き返らないんですか…?もうサビサビだったから……?どうして………。
エネルゴン洞窟の中で岩座に横たわっているバンブルビー、マジのお姫様でしたね。トランスフォーマーシリーズのヒロイン、バンブルビーなのでは…ラピュタで言ったらシータの趣がありました。あのシーン。エネルゴンは青く光るしね。パズーがだいぶゴツいというか、自立しているシータになるんですが………戦闘員だし……。

さておき、オプティマスが「that is bad idea.」(それは悪い考えだ)みたいなこと(聞き取り不安)言ったとき脳裏をコンボイが「わたしに良い考えがある」って言いながら通り過ぎていって劇場で大声出るかと思いました。
あと主人公に車泥棒を勧める近所の人がずっとあのアメリカで一番まずいグミでしたっけ、とにかく評価が最悪のあの赤いネジネジのキャンディ食べてて「剛のものじゃん……」って思ってました。あれ美味しくないらしいので……食べたことないけど……。
そしてトランスフォーマーシリーズは低音をはじめとする「音」の部分がものすごく重要で大切な要素なので、頼むからDolby Atmosで2D上映してくれ〜〜〜!!!!!!!って3D酔いする人間は叫んでいます。たのむ、IMAXでもいいから2Dでやってくれあれを………。畳む

つらつら

映画感想:「探偵マーロウ」の静かで正当な、横におしゃまさんを置きたさ。
おしゃまさんのくだりは完全に本編と関係ない俺の願望がはみ出ました。#映画感想

いやだって………長身で散々作中でも「でかい」って言われてるならあの時代としても相当に大柄の部類でいらしたんでしょ、マーロウさん。であれば!であるならば!ちょっとおませないいとこのお嬢さんをお隣にね!できれば5、6歳の自立もできるお年頃のね、賢いお嬢さんをね、こうね!配置するとね!世界が完璧になるんですよ。完全に余談から始まるタイプの感想文。本編に行きます。

あらすじというか話の流れは謎解きそのものやトリックの解明、複雑に絡まった陰謀、派手な逃亡劇…!というタイプではなく、王道のただひたすら地道に自分の足で調査する探偵ものです。なんとなく本編全体を通して「地に足をつけていること」が徹底されている印象でした。
我々はおそらく一度通過した基礎の基礎部分をもう忘れてしまって、直接的に摂取できる刺激をド派手なカーアクションとか肉弾戦とか緊張感極まる頭脳戦とかよくわからないけど技術の粋がつまったガジェットとか爆発とか、そういうわかりやすい視覚や聴覚から摂取できるものだと思いがちで、数字が簡単に見えてしまう「バズ」が目指されている取り組みがそこかしこにあり、おおよそ一人一台はスマートフォンを持ってネットワークに接続されて情報は以前よりも遥かに簡単に手に入るようになっているのが現状(その真偽は別として)。
その中で、だからこそ、本人が知らないことは知らない、見てないこと聞いていないことは知らない、相手が嘘をつけば欠けたままの情報がずっと残るだけ、という探偵もののものすごく基本的で大切な部分に忠実な話だったなあと思います。

どうしても推理小説好きでいろいろ読みあさって育ってきたので「顔が潰れている死体の身元確認はしっかりしろって百年以上言われているでしょ!!」っていう謎のおかん部分が顔を出しましたし、再現映像で思いっきりきちんと頭轢いてて自宅で見たら500デシベルくらいの大声出して手叩いて笑ってたシーンでした。そこまできちんとぐっちゃり轢くやつがあるかい!(あります。PG12だからね!一応ね!)カパキョンみたいな音出てて、ふふ…になりました。
途中から出てくるセドリック(運転手)がす〜ごい好きですね!またお前はそういう役回りを…死にませんでした!!!!(朗報。フォントサイズ300ptは最低でも欲しい宣言)登場人物たち、基本的にみんな自分の信念に基づいて行動していて、自由に見えるのだけれど全然自由とは遠くて、檻の中にいてままならなくて、欲しいものは手に入らなくてずっと足掻いていて、自分の足元が揺らぐのを恐れるくせに他人には横暴で、人間味があって楽しかったです。

ただ、全体の規模の割に名前がしっかり出る登場人物が個人的には多すぎてもうちょっとそれぞれの掘り下げほしかったなあ…という贅沢が出ます。クレアの夫とかそこまで…いる……!?と、これは本編を最後まで観た人間だから言えるわがままのたぐい。
途中で出てきた馬の様子がなんとなく落ち着かなげでちょっとソワ…としたけど…俺はうまが好きなので…ちょと気になったけど……でもあれで大丈夫なサインなのかもしれないし…人間以外は傷ついたり死んだ理しないのでいい映画です。動物が傷ついたり死んだりしないで、殺した人間がちゃんと死ぬ映画はいい映画です。フィクションでだけ許されることなので。

俺なら住人不在の家に行ったら初手でドアのガラス割って内側から鍵開けて入るな…と思ったけどあの映画のほぼ唯一の良心はマーロウなのでそういうことは起こりませんが、途中で起こります。初手でやらないの、お行儀がいい。シンプルに考えて最初から不法侵入はやり方が早急すぎるのでやらなかっただけなのですけど、途中できちんと不法侵入してて「い、今ここで!?お行儀が…よい!」になってしまったので、俺が普段どんな気持ちで推理小説とかミステリものに向き合っているかがバレてしまいますね。はい。俺なら初手でやります。
警察側の人たちも良心的と言えばそうなんですけど気遣いの出され方が淡白で小粋なので初回だとちょっとわからんかも……ただこういう「わからなかったな」、と思う表現をぶつけてくること自体が、上に書いたような『目指すところの一つではあるのだけれど俺たちはそれをやらない』という直接的でわかりやすい刺激としての表現ではない方法だったのかな、と勝手に思います。
舞台がハリウッドなのは原作がそうなのか読んでないのでわからないんですが(推理小説系はもっぱら国産で育ちました)、時代背景を抜きにしてもそのときそのときで自分ができることを最大限やる、という姿勢が一貫しているので観ていて安心感があります。マーロウが一貫して自分の信念に基づいているため(ちょっとやりたくねえなみたいな顔はするけどそれは役割に対してなので)、他の登場人物がいままでそうやってきたのであろう人を籠絡する手段が全然通じてないのもよかったです。色仕掛けなんも通ってない。ダメージ0。完全防御。それはそうよ。

薬を盛られた酒を飲んだふりして相手の懐奥深くに連れて行かれるあたりとかもスパイ映画の王道要素で、今はもう使い古されたとして見向きもされない手法が実に当たり前で普遍的な手段として用いられているか、そしてそれが決して見えはしないけれどたぶん世界中のどこかで今この瞬間にもおそらく起きている(捜査うんぬんではなく単に犯罪行為として被害者と加害者の構図で)、といううっすらした現実への反映が観る側のリテラシーによっては問題提起力(ぢから)がすごいな…という感想にもなりそうな映画です。

静かでずっと一本芯の通った、さわやかな後味ではないけれどまあ確かに人生に冒険が起きたとしてこのくらいだし俺は生き残れないな、と思える映画でした。
ところでリーアム・ニーソンってスターウォーズエピソード1のクワイ=ガン・ジンなんですね。全然知らなかった。俺の人生の最初期で死んだ俺の推しキャラでした…こいつまた推しが死んでる………。

キャヴェンディッシュの名前にずっと「絶対知ってるすぐ思い出せないけど…」となっていたんですが、思い出しました。自転車競技選手のマーク・キャヴェンディッシュ氏です。ついこの間(5月22日)にジロ(自転車レース名)で現役引退発表してて「ノァ………」になったからでした。余談。畳む

つらつら