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No.84

映画感想:「アーガイル」を見て現実と虚構の区別をつけよう。
事前情報ほぼないまま観に行ったら入場特典をもらえた。ねこがかわいい。ねこです、よろしくおねがいします。すべがネタバレ。#映画感想

冒頭の文章は全然意識せずに書いたんですが、よくよく考えてみればだいたい「いまはSafeになったSCPに対するカバーストーリーってこんなかもな」というような全体的にポジティブはっちゃけそうはならんやろなっとるやろがい映画でした。め〜〜っちゃ好きです。あと創作をやっている人間に刺さる要素が多すぎて中盤以降ほぼずっと劇場じゃなかったら手叩いて喜んで爆笑しながら泣いてた。何回か大きめの「だっっっははは」が漏れた自覚はあるので平日昼間の人が少ない劇場、𝑻𝑯𝑨𝑵𝑲𝑺...これは本当に。

いままでのフィクションスパイ映画によくある(あったか?)、モチーフとしてはだいたいやりつくされた要素を「あ〜〜〜〜〜なるほどね〜〜〜!!!!!!」にちょうどよく落とし込んでくるバランスと、映像でみせることの最大限の活用と、「わかるそういうの俺たち全員好き」が全面に出てきていて本当によかったです。俺だってヘンリー・カヴィルの顔したイマジナリー・自己を記憶を失った状態で内在させてことあるごとにお伺いを立てたい。あんなヘンリー・カヴィルの顔したイマジナリー・自己がいたらこの世のだいたいのこと全部自己肯定で乗り切れる気がする。

善性、人間の善性、その性質が記憶によらないという解釈、めちゃくちゃ助かりました。そもそも俺は性愛が限りなくない性質で生きているので、恋愛映画とかは性愛強すぎる人間大博覧会で「そういうのいいです」になっちゃうんですが、「アーガイル」には善意と悪意と強く主張されない(「恋愛感情ってこうでしょ?」という押し付けを少なくとも俺は感じなかった、だからその辺を摂取したいひとにはとてもさらっとライトで物足りない部分としてうつりそうな)恋愛感情とあとはひたすら爆発と爆発と爆発があったので大変良かったです。
お前はフィクションで盛大に爆発があればだいたい喜ぶだろ、というご意見に対しては真面目に正座しながら大いに頷くところですが……はい……好きです………だから「アーガイル」も好き………。

終盤、敵組織のアジトがでっっっっっっっっか原油タンカーなの嬉しくなりすぎて「だ〜〜〜〜っっっはっはははっはは!!!!!」って本当に口から飛び出していったので理性が追いつきませんでした。原油の海でアイススケートをやるな。なんだそれは司先生が見たら泡吹いてひっくり返るぞあそこ(超絶おもしろフィギュアスケート漫画『メダリスト』を読んでください)
そんでもってそれを全部爆破するのはやめてくれませんか!!!!!!!!!!!!!やめれ〜〜!!!!!!!!!!!って方言が思わず出ました。やめてくださいその規模の原油タンカーが会場でその規模の爆発をすると周辺海域がとんでもないことになるんです!!!!!!!実際あれ航行海域によっては公海の場合どこの国の対処も間に合わなくて本当に地球が最悪になるので……本当にそれだけは…………ちょっとツイートした「船のオタクなので助かった部分と船のオタクなので助からなかった部分があり」の、助からなかった部分です。助かった部分はでっかタンカーが拝めたこと。あれ途中に映った救命浮環にIMO番号と船名がっつり書いてあったけど実在船なのか…?実在船を滅ぼせるのか……?が気になって終盤のめちゃくちゃいいシーンなのに気持ちが浮ついていました。
でっかタンカーの甲板、あまりにも船長がありすぎるために消失点が発生するの、良かったです。

大ヒットスパイ小説シリーズがまさか著者が強い催眠(マインドコントロール)によって記憶のすべてを敵組織にいい感じに乗っ取られて過去の任務などについて自分のリサーチに基づいたフィクションを書いていたと思ったら全部事実で〜〜〜〜す!!!!っていう小説家に対しての最悪の「現実と虚構の区別つけろよ」を地でやるの本当になんなのだ………あと制作にAppleが噛んでるの全然知らなくて随所にApple製品出てくるのめちゃくちゃ笑っちゃった。俺はAppleというメーカーに複雑な愛憎を抱いています。「マーダーボット・ダイアリー」期待しているからな。
現場に赴くエージェントにはiPhone 13 Proがお似合いだよってか!!!でもあれヘンリー・カヴィルとジョン・シナの持ってたサイズ完だからPro Maxの可能性もあるんだよな……でっかサイズスマフォがちっちゃサイズに見えるでっかさの人たち………。いいからiMac27インチ復活させてくれiMac24インチでカラバリ増やしとる場合か。話が逸れました。作品全体を通してなんか呼吸が楽だったの、Apple関わってるせいかな………と思うと感謝もありつつ「とはいえ作品にそこまで意見言える立場に御社がいるの嫌だ」にもなり……いやこれ完全に話がそれますね、はい。やめます。

事実は小説より奇なり、現実と虚構の区別つけろよ、俺が先に思いついてたそのアイデア、でも。あたりが主題の大きな部分なのだけれど、これは俺が創作をやっているから抱く感想なのかもしれないけど人間の記憶なんてあいまいだしもしかしたら自分の考えていることは全部他人に読まれているのかもしれないし両親は全然知らない人かもしれないし(まあ生まれる前のことはどうやっても知り得ないので全然知らない人ではあるのだが)なにを信じていいかわからないとき己のフィジカルの強さで生き残ることはできるし、そして人間の魂の善性は、それはすべての根底にあるものだからその上に発達した感情や経験値や現状やたとえ荒唐無稽であったとしても他人にねじ曲げられた習慣やそういったものを凌駕して、他人の頭を踏み潰さないという選択をさせるんだ、という、最後のその着地点、本当に本当に助かりました。
俺は人間の魂の善性をそれなりに強く信じていて、だから余計にそこを手放さずブラさずにいてくれたの、嬉しかったな。好きな映画です。お行儀のよい「キングスマン」って感じ。ところであの最後の急に出てきた「キングスマン」という名前の店、あれは別のスパイ映画と関係あるんですか?作品の例えで他作品の名前出すのあまりしないように心がけていたのですが、こればっかりは作中に出てきてしまったので言及せざるを得ない。

とにかく人間がはちゃめちゃになっているさまを観て元気になりたいときか、はちゃめちゃな爆発を見て元気になりたいときに俺は爆裂におすすめします。
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つらつら