散る散る満ちる。

擬人化を含む一次・二次創作もろもろサイト。転載禁止。
感想やいいねと思ったことなど、お気軽にWaveboxへ。絵文字だけでも嬉しいです。

No.77

映画感想:「コカイン・ベア」にみる、はるか懐かしの北の大地の情景。
2023/10/18に観ました。#映画感想

あまり真面目なホラーと真正面からのグロが得意ではないので、気にはなりつつも職場の先輩の一押しがなかったら観に行かなかったタイプの映画でした。それ以外の部分を啜りにいくつもりで手羽先の軟骨周りのコリコリした部分を咀嚼する姿勢です。
95分でサクッと観られるスナック感覚の、スナック感覚で人間が死んでいく映画でしたね……でもちゃんとホラーの作法があって、笑えばいいのか怖がればいいのかわからんまま終わりました。思ってた人が生き延びて、思ってた人が死んだので生死判定むずかし……まあ全員死ぬのかなと思っていたのでこんなに生き残るんだ!?の驚きがありました。
劇中音楽が好きな感じの曲ばっかりで楽しかったし、静かに音を聴かせるところはちゃんと余計な音がなくてメリハリよかったです。音響でいえば負傷して息も絶え絶えの森林警備隊員さんの鼓動が緊迫するシーンでだんだんBGMを占領したところに、聴診器を口元に持って行って「熊が」っていうところも音の使い方を知っている人のやり方で満面の笑みになりました。
案内所に刑事さんが到着したとき、車から出て一回車内に戻ったとき(刑事さんが案内所を見てないとき)に案内所内から血まみれの手がバン!!!て窓ガラスを叩くところ、そして刑事さんはそれを見ていないからそのあと外側からのショットで窓に血まみれの手形がついているところ、ホラー映画の作法ですごく良かったですね。

熊が本気出して走れば車に追いつくのも、木登りができるのも、嗅覚が鋭いのも、母グマ(メス)が子育てをするのも多頭産なのもちゃんと生態をなぞっていて、なんちゃってよくわからない生物ではない熊だったので、道民は熊の生態そのものに怖すぎて泣いてました。だって……あれが市街地に出るんだもん…………こわ……えーん……泣いちゃった。映画冒頭に「事実に基づく」っていう断り書きが入る映画の視聴歴が「オンリー・ザ・ブレイブ」だけなのであまりのギャップに情緒がどうにかなりそうでした。
登場人物が多い割にさくさくと死んでいくので、スナック感覚というのがぴったりくるのですが、それぞれの視点から描いたらとても濃厚なサスペンスだったり、麻薬の売人のひりつくようなノアールだったりができそうな要素をたぶんに含んでいるのに、これは「コカイン・ベア」だから特に深い掘り下げもなく普通に人間は死にます。と言う感じでとても……警察官のお姉さんが裏切り者だったところとかめちゃくちゃいいじゃん1!!別角度のドラマで見せて!!!!!!ってなりました。でもこれは「コカイン・ベア」だから普通にそんなことどうでもいいんですよね。
誰かの人生は本当に誰になにも伝えることなくあっけない外的要因でどうとでも終わってしまう、という自然の摂理をそのまま人間側にぶつけてくる物語でとても良かったです。まあ……あれが市街地を闊歩してるので……道民は泣いてしまうんですが………道民って括ってるけど熊が出てくる土地のすべての人間は観るときにやや留意をした方がいい。タイトルとあらすじでネタバレには当たらない情報だろうから普通にあの…気をつけてください……道民じゃなくても泣いちゃうとおもうけど……道民はひとしおなので…………いやわからん、一度互角に熊と渡りあって生き延びたひとなら完全にフィクションとして楽しめるのかもしれないけどいやわからん……俺は熊と遭遇したことはまだないので………話が逸れました。

たぶん話の流れ的にそんなことないんだろうけど勝手に伏線に感じていること、ヘンリーが先に木の幹に二人のイニシャルを掘っていたから、ディーディーのもともとの聡明さと呼応して絵の具や服を足跡として残していくのに繋がったのかなあとかなんとか。たぶんそこまで考えてないと思うよのパターンではあると思います。ちょっとクマの脅威がのっぴきならない道民たちに観てもらいたいですね……感想を聞きたい…………。
畳む

つらつら