散る散る満ちる。

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No.69

映像感想:「ステルス・テクノロジー 兵器最前線」シーズン1エピソード2だけ観た。
なぜなら軍用機のオタクだから。擬人化の民なのでちょいちょいそういう表現があるし扱ってるものが軍用機なので人を選びます。タグの統一のために #映画感想 にするけどドキュメンタリー作品です。

そもそも2004年のドキュメンタリー作品なので画面のアスペクト比が4:3だ!絶妙に良い感じのアナログノイズ感だ!と映像そのものに感動する間もなく、SR-71だF-117だB-2だB-1BだなんだかんだF/A-22(※1)だF-35だとステルス機のあゆみを全部おさらい!みたいなコンパクトさで次々と情報が降ってきて飽きない構成、うまいなあ。45分しかないというのもあるのかもしれないけど、時間の使い方と時間に対して取り入れる情報の取捨選択が上手い。
※1…F-22こと愛称ラプターくんは2002年に型式が「F/A-22」になったけど、2005年(この作品放映後)にF-22に戻ったので放送当時はF/A-22だった。

ステルス機、といえばおそらくだいたいの人がF-117を思い浮かべると思うんですが、それだけではもちろんないので、出るわ出るわ過去に好きで擬人化した機体たちが全部! でも競争(コンペティション)に敗れた機体はもちろん全然触れられもしなくて「歴史は勝った方が作るんだな…」をこんなところで感じると思っていなかったよ。新しいタイプの寂しさだな、これ。
F-22(打つの大変なので現在の型式でいきます)ラプターくんが各天候への耐久性試験で、屋内だけど雨や風を再現できる施設の中でめちゃくちゃ雪に降られて機体にごっさり雪が積もってたの可愛いすがたでした。あとラプターくん登場時の空軍の人のコメントが「(いままでの爆撃機※2などと異なり)ラプターは真の戦闘機です」みたいなこと言ってて悪い笑いが出ました。あと機体自体の格好よさって中の人も気にするのか「地上でも空中でも格好いい!」みたいなことも言っててにこやかになりました。急に人間味を出すな(人間ですが????)
※2…F-117の「F」は「Fighter」(戦闘機)の頭文字ですが、実質的にF-117は攻撃機的運用をされている。飛ぶの夜間だったし、そのほかにも機体にいろいろ制限がありすぎたのだ。

後半は開発途上の無人機にも触れられていて、将来的にはオンラインゲームが得意なオペレーターたちが無人機を最大4機同時に操作することを目指しているとかなんとか言ってるんですが、このあとに生まれた現状としては無人機パイロットのPTSD問題とかそのへん…そう……まだ夢があったよねこのころはね………という時代を感じるなどもしました。
そもそもこの番組自体がプロパガンダとしての素養を多く持っているのは判っている上で観てますし、過去の時点を一部分からのみ切り取った映像作品であるということも理解の上で観ているんですが、有人機に対して「パイロット(人間)を失うこと」を危惧して無人機の開発に注力している人間たちが、種として同じ人間たちにも被害が出るであろう作戦を自らの功績として語りながら同じ口で「戦争の犠牲者は少ない方がいい」とのたまうの、に、人間〜〜!!!!!!人間のあくまで片方からの、お、おわ〜〜〜!!!!自分に正義があると思っている人間の!!!!!ってなって吐くかと思いました。

俺は確かに軍用機も含めた無機物のオタクをやっていますが、絶対的に戦争には反対だし武力で抑圧し合うなんてことは可能な限り少なくかつ影響の及ぶ範囲が小さくあるべきだろ世界、と思っているタイプなので、毎回この辺は「技術の進歩や新しい性能がうまれるきっかけ、開発者たちがその無機物に託した夢やその無機物が成したこと、為せなかったこと、残したこと、残せなかったこと、残したかったこと」という残渣に勝手に物語を見出しているだけで、とはいえ戦争という出来事がそういう技術面を一番後押しするということもわかっているので苦しみます。
苦しみながら無機物のオタクをやっている。どうして。でも好きだから……なにかに執着する人間が一種俺たちにはわからない熱量でトランス状態の様相で語るそのものへのその人が思う愛の話が好きだから……それは祈りなので……答えるはずのない無機物への祈りなので………でなければどうして彼ら彼女らが自分たちの手がけた無機物を「he」と呼び「she」と呼び習わすことが連綿と続いているのか…………。

ともあれ作品最後の方でも言われていたように、無人機からのディスプレイ越し映像では判断できない誤射の可能性を潰すために有人機は決してなくならない、という発言からけっきょく人間が人間同士でものごとをやるための手段として計画設計製造運用される無機物たちと、そこに人間が勝手に祈りを覆いかぶせたりそんなもの一つもなかったり、愛称をつけたり人間のように呼んだり愛着を持ったりの、全部いびつでしっちゃかめっちゃかな片一方の理論だな!と思いました。この視点は忘れないようにしたいね……格好いい無機物、好きだよ。畳む

つらつら