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No.50

映画感想:「NOPE」はいいぞ、永遠にいいぞ。
大好き映画「NOPE」がアマプラ見放題になったので改めて感想すべてがネタバレ。#映画感想

本当の本当に一部ホラー映画の表現はどうしようもないとして創作をする人類みなすべて一回は観てほしい映画すぎて、ことあるごとに人様の耳元で「NOPE……いいよ………」って小声で囁く妖怪なんですが、いや本当によかった……………毎回良い……………。

けっきょくホラー映画の皮をかぶった怪獣大戦争映画だと思っているんですが、びっくり要素や怖い音がたくさんあるのは仕方ないね…という感じなのでおすすめし辛さと人の選び方が尖っているんですけれども、散々言われているように創作物をエンターテイメントとして消費するにあたって動物をはじめとるすもの言わぬ立場の弱いものの搾取や「見えなかったことにされている」もの、ものが言えるけれども同じものとして扱われない現状(人種や出自などのあらゆる差別)、これ(映画本編)を観てなにかを思っているお前たち観客はあのGジャンといういきものを「観て」いるので本来は喰われる立場にあるのだぜという静かな提示、撮影にとりつかれて自分の命がどうでもよくなってしまったひと、勝手に監視カメラの映像は見るけど(倫理……)すぐに「(馬の)家族だぜ」と言い返せるひと、そしておそらく人種と立場(おそらく映画制作において人間の言うことを聞かない動物は基本的に下に見られており、それにうまく言うことを”聞かせられない”調教師も含めて疎まれていても仕方がないのだ。だから仕事がない)のせいで最初から「なかったもの」にされているひとの放つ「見たかよ!」の声…………………すべてが………………。

ものを創るとき誰かを傷つけずに済むと言うことは絶対になくて、どんなに救いのある話であろうと「救い」が生まれるためには救われていない状況がまず発生していないといけなくて、それを無視して例えば主役を立てるためだけにマイナス部分を負わされているキャラクターが不可欠で、それが人間であったり動物であったりそのときどきで異なるのだけれど、往々にして「そういうところ」に置かれやすい属性ってどうしても決まってくるじゃないですか、淘汰で。
毎回最後が怪獣大戦争映画になるのはちょっと面白いな、と純粋にエンターテイメント作品を観る気持ちになるんですけどあの作品が抉りたいところを考えるときっとそういう「なんでだよw」みたいな軽い笑い(そしてそれは往々にして我々の無意識下の選別で”下”、”これは自分が笑っていいもの”という判断をくだされたもの)ですら観客が気がつかないところでやっている選別を狙ってきていてもおかしくないな、と思うわけです。

こういう考え過ぎか?という考察をさせるだけの余白と、情報量と、恐らくは、という予感や回収されなかった要素、あえて描かれなかった要素のことを考えると、ホルストの服薬の事情とか少し足に怪我かなにか抱えているような動きとか、エンジェルの家族構成とかバックグラウンド、ジュープのあまりにも人生の早い時期に経験してしまった神秘的(ともいえる残酷な、神は大体残酷なので)な体験がこびりついてしまった魂のこと、あの世界には存在するけど特に今回の話には関係ないから描かないぜ、で済まされたあらゆることが「その不明点が気になって進めない」ではない程度に調節されて提示されるの本当にさじ加減に対しての感情が鋭い。

今週末、Twitterのオンライン映画部という集まりでみんなで観る予定もあるので楽しみにします。へへ……。畳む

つらつら