No.88, No.87, No.86, No.85, No.84, No.83, No.82[7件]
つらつら
映画感想:「ゴジラ×コング 新たなる帝国」で気持ちのよい破壊を摂取して元気になる。これがたぶん”整い”というやつ。
この感想文は怪獣映画における人間を気持ちよく消費される資材みたいな気持ちで観る邪悪な人間の書いた文章です。すべてがネタバレ。#映画感想

フィクションの皮を一枚被せて絶対安全圏から眺める全然関係ない人間個体が識別もされない大量の破壊からしか得られない栄養を摂取しにいくぞ、という己の最悪人間性を自覚しながら観る怪獣映画の破壊ほど滋養に富んだものはないですからね……冒頭から最悪キャプションの続きを最悪に続けました。はい。

「ゴジラvsコング」を観ているのでゴジラとコングの関係については「共通の敵がいればそちらを共同で対処するが、そうでない場合はお互いがめちゃくちゃ気に食わない」っていう関係性だと思っていたので、今回のゴジラくんの「ほかの怪獣、みんなきらい!!!!!!!!」っていうヤンキーというかナワバリを荒らされるけもの(というか赤ちゃん……)そのものの振る舞い超好きです。かわいいね、お腹すいたからごはん(原発や他の怪獣)を食べて、ローマのコロッセオでおねむなんだね……かわいいね………「KoM」あたりから比べるとだいぶ原初の生命の本能を取り戻してのびのびと暮らしており、たいへん良いです。そうであれ、怪獣、という俺たちの祈りの体現みたいなふるまいで最高の最高でした。
ジブラルタルから海に飛び込んで真っ直ぐにエジプトを目指すの、「まっすぐいくと、はやい!!!!!!!!!」を体現していて大変良かったです。人間が軍事上の重要点であり地中海の鍵であり……みたいなことをちまちまやってるところに「しらない!!!!!!!」ってどっしりむっちりゴジラくんが飛び込み競泳始めるの本当に健康にいい。体と精神の均衡が整う。ありがとうゴジラ……その振る舞いが俺を助けています………。

コングが虫歯になっている冒頭、栄養を経口摂取する運命の生き物に対して死に直結する体調不良要素なのでものすごく顔をしかめながら観ていたんですが普通に治療されていて笑いました。あるんかい、差し歯。
獣医さんが軽やかな言動とコミカルな動きとやたら良い顔の造形をしているのめちゃくちゃ笑っちゃったんですけど、「人間も食物連鎖の中にいるんだ」みたいなことさらっと言ってたので「あっこの人は人間を頂点として見ていないんだな」とわかって、あれたぶん他の人間が無意識にでもそう思っていない生命の境界線をすでに越えた自覚があるまま、そうでない認識での世界を生きている人だな……という親近感がすごかったです。俺はほかのいのちに対して人間を優先しない人間が好き………。

予告でモスラが出るの知ってたのに劇中で登場したとき爆裂に泣いてしまった。俺はモスラを一番推しています。今日も美しくおありですね我らの女王様。素敵です。好きです。話を何にも聞かずコングを見掛けるや否や「きらい!!!!!!!!」って殴りかかってプロレス始めるゴジラに「めっ!!!!」ってビンタかましてそこに正座させられるの、女王様だけですからね。モスラ………ゴジモスは「KoM」で公式カップリングだとほぼ明示されているので…………戦友でもあるけど……………レジェンダリーシリーズのモスラ、若干造形が蝉の幼虫に寄ってるのだけ「もうちょいもふもふさせてほしいな」と思うけど、全体的に美しく強く儚さも帯びながらすべての人間が自然とこうべを垂れるような威厳に満ち満ちており、あとゴジラをビンタできるので好きです。モスラがいなかったらあのまま地上持ちかもしっちゃかめっちゃか怪獣大プロレス大会になってゴジラが勝ち残って世界が滅びましたからね。
そう、人間個体に興味が薄いのでプロレスというものをいままで一つも嗜まないで来たんですが、そんな俺でも「あっこれはプロレスをやりたいんだな」と直感でわかるくらい大乱闘だったので、多分その方面が好きな方にもちょっと響く要素はあるのかも。

ところでジアとコングが心を通わせていたの、両者に共通する同類の存在が皆無であり孤独、というところにあったと思うんですが、今回はどちらにも直接の血族ではないが同種族の広いコミュニティの存在が明示されて「わ〜〜〜〜〜い」になりました。素直に喜びます。やったね。そしていまいる孤独であった場所から遠ざからなくても、いまと同じ人のそばに居続けても、ただこの世に一人ではないという事実があればそれでよいのだ、と変化を強いられるようなこの現状世界においては「いまのままでもいいよ」というほんの少しの肯定もあってよかったですね。本人が居たいところに居られたらそれでいいのだ、という肯定はゴジラがまたコロッセオに戻っておねむなのと同じで、大変良かったです。

スーコ(名前調べました)、最初は完全にやなやつの下で育ったのでやなやつです、を体現していて子供ながらに小物の振る舞いそのもので「わあ…」になるんですが、コングの思わぬ子育て上手(最初が絶対的な力量差による上下関係の叩き込みとは言え、そこから下剋上してこない限りはいい感じに放任しつつ罠にはめられても(気づいてなかった説もあるが…)食事を分け与え命は助ける)が発揮されてうまいこといい子になったので強く生きてほしいと思います。グレイト・エイプ(これも調べました)側にもいろんな種類がいるわけなのであの一群がコングの仲間たちということになる理解で良いのか……?たぶん良さそうだな………。
シーモくん、白くてむちむちでかわいかったね………ところでシーモって「霜」から名前とられているわけじゃないですよね流石に………?と思いました。ど、どうなん……?こんな俺が思いつきそうなどうしょうもない洒落みたいなやつなの……?本当に……?まだパンフレット読んでませんが永遠の謎であってください。

初手IMAXで観たので次はDolbyを観に行きたいけど行ってる時間あるかな〜、とりあえずレジェンダリーのゴジラシリーズが嫌いじゃない方はでっかい音とでっかい画面で観られるならそうしてください。破壊で元気になろう!!!!
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つらつら
AppleTV+のドラマ「モナーク」二話まで観た。
管理の都合上ドラマシリーズも#映画感想 でまとめさせてもらいます。

お、お、おもしれ〜〜〜!!!!!!!!が最初の感想。まだ二話なんですけどね。あとこの文章を書いている人間はレジェンダリー制作のゴジラシリーズをだいぶ贔屓目に両手叩いて大喜びしながら観る人間です。近々「ゴジラxコング 新たなる帝国」観に行きます。余談。

正直に言って俺は怪獣作品は怪獣を見たいがために観るので、一話は「人間が……なんか人間同士で揉めてる……」みたいな若干の距離感を感じていたのですが(俺には他人への性愛が備わっていないので家族に成っている先は理解できるがそこに至るまでの感情をすべて想像で補っているため性愛に基づく恋愛要素の匂わせをノイズに感じがち。すまんな)、一話の中で行き先が気になる要素がテンポよく展開されるため一話の印象は「すごくじっとりした人間関係の中で本当にささやかに文字通り謎の箱の蓋が開く」なんですけど、そこを越えて二話よ1!!!!!一話で挫けそうな人も二話まで見て欲しい。とりあえずいまそこに俺がいます。ようこそ、テレビドラマ「モナーク」がある世界へ。

二話〜!!!!おかあさ〜〜〜〜〜〜ん!!!!!!!!!!!!(ケンタロウのご母堂のエミコさんを指しています)
エミコさん、英語あんまりわからない(リスニング・スピーキングともに)のに頑張ってケイトと会話しようとするところとか、でも基本英語ができる息子に任せてるところとか、ケイトが笑顔でなんか喋ってたらとりあえず笑顔で頷いてみるところとか典型的な「英語できない日本人」なんですけど演技がうめぇ〜〜〜〜……!!!!!になります。
一話だけみるとかなり受け身であらゆることを飲み込んでうっすら微笑みながら何も言わないタイプの自分をあくまで被害者の枠から出さないようにして責任を回避しているような振る舞いの人に見えて「表立って嫌いにはならない(なぜなら嫌われないように本人が振る舞っているから)けど、そして確かに騙されていた側の人間ではあるんだけど友好の一線は超えない」んですけど、二話!!!!!!二話よ!!!!!!!!!!!!!!
何故なら俺はこう言うタイプの受動的な人が「なんかおかしいぞ」と思ったあとにスッと覚悟を決めて自分の子供だけでも逃がそうと時間稼ぎをするためにとる行動が好きだからです。あのあとなんか危害を加えられていたら俺は本当に石を拳の中に握り込んであの人たちを殴りに行ってしまう。無事であってくれ……自宅で運動する時に観ると決めたのでしばらく次を観ないんですが………。
あとシンプルに家族の思い出を「お母さんも怒ってきた」でびりびりに破いて紙吹雪みたいにするところ、この人にも思うところがないわけではないんだな、という芯の部分を少し見てからの行動なのでなおのこと「お母さん!!!!!!!!」ってなる。

ケイトもそら経験したことを考えたら急に車に乗せられたり、地下鉄の狭いホームに閉じ込められたりしたらああなるわいな……という振る舞いが見事。あと「GODZILLA」の作中で起きた出来事の関係者であるという立ち位置をスッと「実はあのスクールバスに乗っていました」で出してくるの、巧妙だな。だって「GODZILLA」で描写されたスクールバスが一台だけであっても、あの場にいたスクールバスが一台だけであるとは描写されておらぬのでね……そうでなくても「実はいました」の整合性がそこまで乱れないのでうまいことケイトの存在を差し込んだなあ、と感心が先に立ちます。

まあ二話まで観てもケイトとケンタロウのお父さんの最悪人間ムーヴは本当に最悪なので「ええ…………」になるんですが。本当に最悪ですよ、どうぞご覧ください。最悪人間ムーヴでいうと一話のケイト(祖母のほう)もあきらかに場の空気がやばいのに研究を先行してやばいことになるのが無理すぎて「わ〜〜〜〜〜〜」って言った。親が親なら子も子かい、ですよ今のところ。
これどうなるんだろうな………艦船のオタクとしては二話で出てきた駆逐艦がジャングルの中にあるの、めちゃくちゃ興奮しました。そこにないはずのものがあるの、最高。特にそれが艦船だと一番そぐわなくて最高。それで言えば航空機はなんであっても地上には帰ってくるからこのロマンがないんだな……そうか、やはり艦船は人間の「帰るところ」として機能するから、それが造船所でない陸地の上にあるとなんともいえない背景が絶対に存在すると言う確約にもなるわけで、なるほど、良い。
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つらつら
映画感想:俺はこの感情の名前をまだ知らないと思う。
「オッペンハイマー」観てきました。ま〜〜〜じで全然言いたいことが固まらない。#映画感想

まずもって公開前にわりとそこそこ大きな範囲で話題になったネットミームがあったと思うんですが、マジであのミームは最悪だったし、あのミームを観測した上でちゃんと本編を己の目で観に行くことができてよかったと思いました。あのミームが茶化しているのがあくまで「それぞれの映画の内容からおおよその人間が想起されるであろう感情の乱高下」そのものであるところまではよかった、いやそれも微妙ではあるが俺も含めたオタクたちって過剰な言葉をわざと使ってエンタメ的に消費することあるじゃん。この態度自体がめちゃくちゃ最悪なんですけどね……はい………そこについては俺もそうなので何も言えないのですけど、ともかく本編を観せろ話はそれからだ、とずっと思っていた甲斐がありました。

あくまでオッペンハイマーという一個人、一科学者の物語だとは思っていたのであれが手放しで歓迎されたとも思わないし、あの映画を観て原爆やそもそも他人の生命や人生を顔も名前も知らない漠然とした「権力」とかいうものを持っているだけの人間がどうこうしていいと思ってんのか?という強い怒りはさておいて、一個人の物語とするのであればかなり、思ったよりかなり、ものすごくとっても政治の話をしていてびっくりしました。
日々の生活が政治の話ではないことってないのですけど、特に我が家は政治の話を家族間でしなかった(選挙には一緒に行っていたが誰に投票したかを相互に機密として扱っており、話題に出さなかった)家だったし、特に政治と野球の話は他人とする場合にかなりお互いの距離感や信頼が大事になってくる分野の話だからそうそう頻繁にするものでもない日常を送っていたのだけれど、そうだよな、戦争って政治だよな、と改めて思いました。

日々の生活が政治と不可分であるなら、政治と戦争が不可分であるなら、俺たちの生活を本当に注意深く扱っていかないとあっという間に戦争になりうるし、科学や技術の分野それそのものはただの結果であったとしてそれをどう扱うかは人間側に委ねられているのだぞ、という認識が欠如するの、本当に簡単だし自分から遠くなればなるほど無関心になっていくから、ああなるんだろうな。

いままで映画を観てきてスクリーン上でえがかれていることに対してやるせなさとか怒りの方向で涙が出たことなかったんですけど、原爆を落とす都市を選定しているシーンと実験の無音で上がる火柱のシーンだけ、いままで抱いたことなかった感情の、多分あれは強い怒りであったり自分自身が彼ら彼女らと同じ人間であることへの強い嫌悪だったり、とにかくそういった物凄く強くて物凄くネガティブで、それでいて生きていく上で俺や俺の大事な人や俺の嫌いな人間にも俺が思う大事な人たちがいるのかもしれないという可能性を忘れないために楔のように自らの中から決して失ってはいけない、錨のような感情で涙が出ました。
あの〜〜〜〜〜本当にここは言葉を砕かないと全然なんにも言いたいこと言えないという自分の未熟さを全面に出した上で書く段落なんですけど、ま〜〜〜〜〜〜〜じであの選定会議でそういう発言があったのだとしたら本当に本当に嫌です。うるせ〜〜〜〜〜〜1!!!!!!!!!!!!!!って大声出るかと思いましたからね。目の前にいたとしたら拳の中に石握り込んで全力で殴りますよあの人のことを。ただこれは「そこにいる人間たちのひとりひとりを知ることはできないし、知ることはできないから人間を数として扱える」という本当に大切なことがえがかれているシーンでもあるので、どのみち心に刻まなければならない。

これはたびたび言っているんですけど、まずもって世界の大前提として自他を傷つけていい正当な理由なんかひとっつもこの世にないんですよ。理性があるのであればいっときの衝動性なんかに身を任せている場合ではないし、理性があることは人として大事な心を失うことでもないし、他人になにかの破壊衝動を向けたときそれが己に同じ力かそれ以上の力でかえってくる可能性って100%いつなんどきもあるので。自分と他人の区別がついていれば自分と他人は別の個体であってなにひとつそこにお互いを傷つけていい理由がないことはわかるはずなんですけど、そしてそれを文化と呼んできたんでないんですか、という問いかけなのですけれども。
実験が終わったあとの土地を先住民に返すとかさらっと言ってましたけど、それも被爆云々の話を知っている側からすれば最悪も最悪で「最悪…………」って本当に口から飛び出すかと思いました。最悪のフルコース食べてんのか?胸焼けがすごいが?

ただ、表現としてすごいなと思ったのは実験成功後の演説会場で喝采に混ざった本当の悲鳴(なんか一際あの声だけ違うな、という「キャーーー!!!」っていう恐怖とかそう言った方面からの絶叫があった)と、階段上のベンチ(っていうんですか、観客が座る側の……)から人が軽くジャンプしながら飛び降りてオッペンハイマーの方を叩いたりする最後にドサっと右側の方に落ちたのはあれ黒焦げの死体ではなかったですか。これは俺の見間違いかもしれないけど、その前にオッペンハイマーが足元で踏み壊した真っ黒な空洞のひとがたのものと同じ色をしていた気がする。

俺自身について、祖父は二人とも徴兵の年に終戦したのと体が小さくて兵役に合格しなかったのとで戦場に行かずに済んだ家系で、祖母はまだ戦時中のことを思い出すからさつまいもが嫌いなのは知っていて、ほんの少しの食料を兄妹で取り合って殴られたりした話を聞いたことがあるくらいで、全然戦争から遠いところにいる家で生まれて育って、触れたのだって歴史の授業でくらいで、修学旅行は沖縄だったから当然ひめゆりの塔は行ったのですけれどじぶんごととして捉えられたかというと人生経験のなさから全然ピンときてなくて、それでも広島に船を見に行ったときに原爆ドームを見て心臓がぎゅっとなったし原爆ドームを背景に笑顔でピースしながら写真を撮ってる観光客の感情がまったく理解できなかったことはあるんですよ。
他人の考えていることなんか他の誰にもわからないし、だからこそ何を言わずにいるかの選択が重要になってくる人生というもののなかで物は言いよう大スペシャルをやるのが政治で、それは日常生活を地続きなので、どっかの知らん誰かは俺たちをどっかの知らんただの数として扱うことが容易に平易にできるのだから、そっちに世界が向かおうとするなら俺は全力で拳を振るうしかないな、物理的にじゃなくてそれ以外のすべての人道に則った方法で。

無知であることは、ああやってただ数えられるだけの存在になるのだ、という自戒を新たにしました。全然なんもまとまらないね。時間が必要だ。
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つらつら
映画感想:形あるものはいずれ壊れる、諸行無常映画「ウィリーズ・ワンダーランド」。
誕生日おめでとう。#映画感想

ニコラス・ケイジが一言も喋らないホラー………いやこれホラー…ホrッ…………???????映画、「ウィリーズ・ワンダーランド」、観ました。もともと「コカイン・ベア」をおすすめしてくれた職場の先輩がにこやかにすすめてきていたので気になっていました。なおこの先輩は「キラー・ナマケモノ」の公開日に有給を取るタイプの人間。

ホラー映画のよくあるやつを踏襲しつつ主にウィリー側への「ど、どうして………」が絶妙な塩梅で振り撒かれていてすごい好きでした。生きている人間が一番怖いパターンでありつつ、もはやいまの器が無機物なので無機物勝手に動くタイプホラーでもあって、美味しいところをたくさん盛り込んでいながら一つのきちんとまとまった味になっているのいいですね。
ホラーの現場で情事に及ぶカップル、あれは絶対になければならないものなんですか?って爆笑しちゃった。本気の条件反射で大きな笑い声をあげたので、劇場で観なくてよかった。でもキャシー、一番良い子やったやんけ……やたら行動がいちいち色気に満ち溢れているだけで……いやでもまあ…急におっぱじめられる度胸があったといえば………………いやわからん……あとお腹冷えるからもうちょっと長いスカート履くか腹巻きしな。お腹冷えるから。内臓を冷やすな。

リブがウィリーと合流してからずっと「いままでの自分の人生はなんだったんや………」の顔しているし、そりゃ自分の人生を大きく変えた現象に対してあれだけ淡々と対処されたらあの顔になりますわな、と思うし、恐怖を克服するにはそれを上回る恐怖が必要なのだという真理を急に突きつけられたらそりゃ………一番かわいそうなの、リブかもしれんな。たぶんあのニコラス・ケイジ、どっかでキアヌ・リーブスの顔した黒スーツのエクソシストと同業だったりすると思います。一般人の拳があれだけ弱くてどうして一般通過ニコラス・ケイジの拳があんなに強いんですか。

リブの仲間たちも急に大所帯になったなと思った次の瞬間から急に大所帯じゃなくなるのでそのスピード感とスナック感覚に手を叩いて大喜びした。事前情報なんにもなく観たんですけど、ジャンルがアクションコメディホラー映画なんですね、なんだその牛丼大盛りセットにお味噌汁と卵焼きつけちゃおっかな、烏龍茶大きめのやつでみたいな俺の大好きなジャンル名は。好きだな………フィクションでしか許されない人死にと暴力を見て元気を出そう!キャンペーンがあったら真っ先にエントリーされる映画です。元気が出る。

思えば与えられた仕事をきちんとこなし、自主的な計画性のもとで動き、休憩の重要性を理解しながら決してその場にある以上の楽しみを求めず(単に短期的な射幸性に強く依存している可能性もなくはないが……)、不規則かつ断続的に発生する不測の事態への対処ができ、提示した報酬を与えれば余計なことをしないという従業員、貴重ですね。俺は雇わないけど。

死は再生なので死んだ人間どもも殺した人間どももちゃんとあの場で死んでよかったね、って思いました。誕生日おめでとう。いい映画です。
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つらつら
映画感想:「アーガイル」を見て現実と虚構の区別をつけよう。
事前情報ほぼないまま観に行ったら入場特典をもらえた。ねこがかわいい。ねこです、よろしくおねがいします。すべがネタバレ。#映画感想

冒頭の文章は全然意識せずに書いたんですが、よくよく考えてみればだいたい「いまはSafeになったSCPに対するカバーストーリーってこんなかもな」というような全体的にポジティブはっちゃけそうはならんやろなっとるやろがい映画でした。め〜〜っちゃ好きです。あと創作をやっている人間に刺さる要素が多すぎて中盤以降ほぼずっと劇場じゃなかったら手叩いて喜んで爆笑しながら泣いてた。何回か大きめの「だっっっははは」が漏れた自覚はあるので平日昼間の人が少ない劇場、𝑻𝑯𝑨𝑵𝑲𝑺...これは本当に。

いままでのフィクションスパイ映画によくある(あったか?)、モチーフとしてはだいたいやりつくされた要素を「あ〜〜〜〜〜なるほどね〜〜〜!!!!!!」にちょうどよく落とし込んでくるバランスと、映像でみせることの最大限の活用と、「わかるそういうの俺たち全員好き」が全面に出てきていて本当によかったです。俺だってヘンリー・カヴィルの顔したイマジナリー・自己を記憶を失った状態で内在させてことあるごとにお伺いを立てたい。あんなヘンリー・カヴィルの顔したイマジナリー・自己がいたらこの世のだいたいのこと全部自己肯定で乗り切れる気がする。

善性、人間の善性、その性質が記憶によらないという解釈、めちゃくちゃ助かりました。そもそも俺は性愛が限りなくない性質で生きているので、恋愛映画とかは性愛強すぎる人間大博覧会で「そういうのいいです」になっちゃうんですが、「アーガイル」には善意と悪意と強く主張されない(「恋愛感情ってこうでしょ?」という押し付けを少なくとも俺は感じなかった、だからその辺を摂取したいひとにはとてもさらっとライトで物足りない部分としてうつりそうな)恋愛感情とあとはひたすら爆発と爆発と爆発があったので大変良かったです。
お前はフィクションで盛大に爆発があればだいたい喜ぶだろ、というご意見に対しては真面目に正座しながら大いに頷くところですが……はい……好きです………だから「アーガイル」も好き………。

終盤、敵組織のアジトがでっっっっっっっっか原油タンカーなの嬉しくなりすぎて「だ〜〜〜〜っっっはっはははっはは!!!!!」って本当に口から飛び出していったので理性が追いつきませんでした。原油の海でアイススケートをやるな。なんだそれは司先生が見たら泡吹いてひっくり返るぞあそこ(超絶おもしろフィギュアスケート漫画『メダリスト』を読んでください)
そんでもってそれを全部爆破するのはやめてくれませんか!!!!!!!!!!!!!やめれ〜〜!!!!!!!!!!!って方言が思わず出ました。やめてくださいその規模の原油タンカーが会場でその規模の爆発をすると周辺海域がとんでもないことになるんです!!!!!!!実際あれ航行海域によっては公海の場合どこの国の対処も間に合わなくて本当に地球が最悪になるので……本当にそれだけは…………ちょっとツイートした「船のオタクなので助かった部分と船のオタクなので助からなかった部分があり」の、助からなかった部分です。助かった部分はでっかタンカーが拝めたこと。あれ途中に映った救命浮環にIMO番号と船名がっつり書いてあったけど実在船なのか…?実在船を滅ぼせるのか……?が気になって終盤のめちゃくちゃいいシーンなのに気持ちが浮ついていました。
でっかタンカーの甲板、あまりにも船長がありすぎるために消失点が発生するの、良かったです。

大ヒットスパイ小説シリーズがまさか著者が強い催眠(マインドコントロール)によって記憶のすべてを敵組織にいい感じに乗っ取られて過去の任務などについて自分のリサーチに基づいたフィクションを書いていたと思ったら全部事実で〜〜〜〜す!!!!っていう小説家に対しての最悪の「現実と虚構の区別つけろよ」を地でやるの本当になんなのだ………あと制作にAppleが噛んでるの全然知らなくて随所にApple製品出てくるのめちゃくちゃ笑っちゃった。俺はAppleというメーカーに複雑な愛憎を抱いています。「マーダーボット・ダイアリー」期待しているからな。
現場に赴くエージェントにはiPhone 13 Proがお似合いだよってか!!!でもあれヘンリー・カヴィルとジョン・シナの持ってたサイズ完だからPro Maxの可能性もあるんだよな……でっかサイズスマフォがちっちゃサイズに見えるでっかさの人たち………。いいからiMac27インチ復活させてくれiMac24インチでカラバリ増やしとる場合か。話が逸れました。作品全体を通してなんか呼吸が楽だったの、Apple関わってるせいかな………と思うと感謝もありつつ「とはいえ作品にそこまで意見言える立場に御社がいるの嫌だ」にもなり……いやこれ完全に話がそれますね、はい。やめます。

事実は小説より奇なり、現実と虚構の区別つけろよ、俺が先に思いついてたそのアイデア、でも。あたりが主題の大きな部分なのだけれど、これは俺が創作をやっているから抱く感想なのかもしれないけど人間の記憶なんてあいまいだしもしかしたら自分の考えていることは全部他人に読まれているのかもしれないし両親は全然知らない人かもしれないし(まあ生まれる前のことはどうやっても知り得ないので全然知らない人ではあるのだが)なにを信じていいかわからないとき己のフィジカルの強さで生き残ることはできるし、そして人間の魂の善性は、それはすべての根底にあるものだからその上に発達した感情や経験値や現状やたとえ荒唐無稽であったとしても他人にねじ曲げられた習慣やそういったものを凌駕して、他人の頭を踏み潰さないという選択をさせるんだ、という、最後のその着地点、本当に本当に助かりました。
俺は人間の魂の善性をそれなりに強く信じていて、だから余計にそこを手放さずブラさずにいてくれたの、嬉しかったな。好きな映画です。お行儀のよい「キングスマン」って感じ。ところであの最後の急に出てきた「キングスマン」という名前の店、あれは別のスパイ映画と関係あるんですか?作品の例えで他作品の名前出すのあまりしないように心がけていたのですが、こればっかりは作中に出てきてしまったので言及せざるを得ない。

とにかく人間がはちゃめちゃになっているさまを観て元気になりたいときか、はちゃめちゃな爆発を見て元気になりたいときに俺は爆裂におすすめします。
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つらつら
今後のイベント参加のこと

Twitter(頑なにこう呼ぶ)の方では少し言ったんですが、今後、少なくとも2024年に参加するイベントをコミティアに絞ろうと思います。
理由はいくつかあって、擬人化王国とコミティアの開催日程が近い場合(最悪隔週とかになる)に宅配搬入の都合や、単純に体力の回復具合、仕事の休みが取れるは取れるけど有給日数の残りをギリギリしながら気にしつつ……などの細やかなストレスを一切合切放り投げてみようと思ったためです。

おそらくではありますがもともといわゆるコロナ禍(この言い方なぜか微妙にずっと好きになれなくてCOVID-19とかたくなに呼んでしまう)でずっと溜まっていた細やかかつ無視できないものが、ここ最近の活動の再開とともに整合性が取れなくなってしまい、一次創作より二次創作に傾いていたりしたこともあってご覧の通りこのサイトもサイトと言いつつ映画感想ブログみたいになっています。みすでざにもよくわからない話をぽつぽつと投げているし。

ここらで少し活動量を減らしてもいいのかな、と個人的には思った次第で、なんとこの文章を書いている人間はこうと決めてからの行動力と速度が爆裂に速いことで有名だったりします。ここにそう決めたから、そうします。本当にそれだけ。とても元気にやっています。
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映画感想:いいから飛行機に乗る人間は「ロスト・フライト」を観て衝撃防止姿勢の大事さを学べ。
そして姿勢を取れ。姿勢をとらなければ何も始まらないから。#映画感想

ベルト着用サインの重要性とそれを遵守する大事さと緊急着陸した機体からすぐに離れるべき理由が全部いっぺんにお出しされるので実質「ロスト・フライト」は飛行機の緊急時の安全ビデオと言っても過言ではない。明らかに過言。いやでも言い切れないよ?!な映画でした。

いろいろな映画にありがちな「実はこんな秘密が」とか「国家の重要ななにかが」とか「主人公の衝撃の過去が」とかそういうの全然なくて全部実直にこれがこうでこうだからこう!!!!!って話が進むので大変良かったです。
なんでいちLCCの危機管理担当が傭兵集団にコネクションがあるねん、と思いましたが公式サイト見たら「外部から元軍人の」というくだりがあったので着席しつつ、だからなんでいちLCC会社に元軍人の危機管理担当へのコネクションがあるねん、とは思ったけど真っ当な人間をやっていて良かったです。
みんな、新年なのに仕事してえらいね……という一般社会人(元旦は店が休みだから強制的に休みだが、大晦日も二日も仕事があるタイプの接客業)からの変な連帯感がありました。使っている端末がほとんどWindows端末(Dellとsurfaceはあった)だったのに現場にはiPadが配られていて、あの会社のIT部門のひとめちゃくちゃ大変そうだなって思いました。ファイル共有とかいちいち文字化けしてそうで大丈夫なのかな。あと機長さんの使っていたiPhoneはおそらくiPhone 13 Proです(気持ち悪い特定)、娘さんはPro Max使ってるあたり、かわいい(???????)一緒にApple Storeに買いに行ってくれ。かわいいから(??????????)
細かいところなんだけど新年前後のフライト、管制塔とのやりとりでも機体側と管制官の間でお互いに「Happy New Year!」とかが飛び交うのでちょと期待したがそんなことはなかったですね。あれも場所と人によるからね。かわいいね。

冒頭、サーフボード抱えて「遅れちゃう〜」って言ってた乗客の二人の後ろから「遅れちゃう〜」って機長が小走りで駆け込んでくるのギャグすぎてめちゃくちゃ笑っちゃった。LCCとはいえ機長は定刻で来てくださいな。おもろすぎて劇場じゃなかったら手叩いて大声出してた。
でもだんだん「余計なことをした人間から死ぬ」とか「誰もいないと思ったところで急に後ろからくる」とか、ホラー映画の文脈になってきたので実質ホラー映画だったとしても過言ではない。過言。はい。
PG12なのはあれですかね、首が…落ちるから………?直接見せないけど、引きずられていく遺体からぽたぽた血痕が等間隔で滴るさまとか良かったですね、映像での説明がうまい。

俺は無機物のオタク飛行機部をちょっと駆け抜けてるので、なぜ緊急着陸時に燃料を投棄するか、また飛行機の燃料は両翼に積まれているということを知っているし、着陸して機体が停止した後に急いで離れる必要がある理由も知っているんですが、事前情報なしにあれを見たひとたちがちゃんとその辺を全部わかるのかという疑問を抱いたけど、すごく自然にさらっと短いセリフで提示されていて映画作りがうまい……になります。
回収できないくらいの余計な話が広がらなくて、その場その場の緊張感もしっかりあって、機長さんが初めて人殺しに加担した(その前に乱闘で首を絞めていましたが……)あと「あ〜〜〜〜〜〜〜〜」みたいに葛藤しているのも短いながらあって良かった。
最初は静かに語尾が消えていたファ………も中盤からしっかりとFからKまで発音されていておファック部お嬢様たちの可憐な言葉遣いが堪能できましたね。にこやかになりました。これはツイートもしましたが、俺は全然英語喋れん人なので、あんな状況で銃突きつけられてジェラルド・バトラー顔の人に「英語!喋れるか!!!」て叫ばれたら「ミ゜~~~~~~~~~~」って高音を喉じゃない場所から出すことしかできないのであの人は頑張りました。死んだけど。ハズフォールンシリーズでもあったな、あれ。あと余談ですが俺も接客時にお客様から「英語……話せる……?」って聞かれた時「リトル!!!!!!!」って元気に答えるからより他人事ではなかったのかもしれない……ちょとしか…しゃべれない……聞き取りは……ややできる……………。

現地(?)のひとの英語も多国語話者が最低限必要に迫られて学んだ英語って感じで大変良かったです。謎の言語部分に反応するオタクだから……それで言ったら冒頭のデレと貴重の出身地やりとりもアイルランドの人だから香港出身者とブリテンこき下ろし調で喋って許されるのか……?という感じでこれは笑っていいのかわからなかったところですが、ちょっとおもろかったです。俺は得てして考えすぎ人。

あと武装組織のリーダーが、身内を殺されて嘆くのに身内の枠を出たら何一つ人間に対しての態度してないの、一貫して井の中の蛙でよかったです。申し訳ないが機長一人で揺さぶれるのはせいぜいがその会社くらいであって、その会社もアメリカという国からはおそらく切り捨てられるし、アメリカという国は機長一人の命についてはその判断を迫られたら切り捨てるよ。
それを把握した上で「世界が俺に従う」といっているならあまりにも知っている「世界」が狭すぎるし、過去に複数回の成功体験があったからああいう身代金目当てのことを続けているのだろうし、政府当局へのつながりもあるのであればきっと累積の金額はそうとうなものだったろうし政府要人も何回か攫って殺しているんだろうなあ……そういう小さな痛手の積み重ねで現状を維持し、徐々に自分達へ都合のいい金や武器の周りを積み重ねていっている途中で肥大した人間の振る舞いがあってよかったです。
その中で「自分の身内の喪失が、他人にも同じように起こり得る(そしてそれを引き起こしているのは己である)」という認識が欠如してるの、ああいう治安と倫理の終わった地域を統べる位置にいる人間として必要不可欠な認識欠如要素なのでそのあたりも満面の笑みでました。細かいところの解像度が高すぎる。

全編通して一番頑張ったのは飛行機くん、次に仕事したのが黒電話くん(死んだ)、一番大事なのは飛行機に乗ったら安全のしおりを熟読し非常口の位置を確認し、非常時には乗務員の指示に従い、衝撃防止姿勢をとり、己の荷物については見捨てる覚悟をし、いざというときに己の身一つで走り抜けるというフィジカルの強さであるということが改めて確認できる、いい安全確認映画でした。生き残っていこうな。
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