No.86, No.85, No.84, No.83, No.82, No.81, No.80[7件]
つらつら
映画感想:俺はこの感情の名前をまだ知らないと思う。
「オッペンハイマー」観てきました。ま〜〜〜じで全然言いたいことが固まらない。#映画感想

まずもって公開前にわりとそこそこ大きな範囲で話題になったネットミームがあったと思うんですが、マジであのミームは最悪だったし、あのミームを観測した上でちゃんと本編を己の目で観に行くことができてよかったと思いました。あのミームが茶化しているのがあくまで「それぞれの映画の内容からおおよその人間が想起されるであろう感情の乱高下」そのものであるところまではよかった、いやそれも微妙ではあるが俺も含めたオタクたちって過剰な言葉をわざと使ってエンタメ的に消費することあるじゃん。この態度自体がめちゃくちゃ最悪なんですけどね……はい………そこについては俺もそうなので何も言えないのですけど、ともかく本編を観せろ話はそれからだ、とずっと思っていた甲斐がありました。

あくまでオッペンハイマーという一個人、一科学者の物語だとは思っていたのであれが手放しで歓迎されたとも思わないし、あの映画を観て原爆やそもそも他人の生命や人生を顔も名前も知らない漠然とした「権力」とかいうものを持っているだけの人間がどうこうしていいと思ってんのか?という強い怒りはさておいて、一個人の物語とするのであればかなり、思ったよりかなり、ものすごくとっても政治の話をしていてびっくりしました。
日々の生活が政治の話ではないことってないのですけど、特に我が家は政治の話を家族間でしなかった(選挙には一緒に行っていたが誰に投票したかを相互に機密として扱っており、話題に出さなかった)家だったし、特に政治と野球の話は他人とする場合にかなりお互いの距離感や信頼が大事になってくる分野の話だからそうそう頻繁にするものでもない日常を送っていたのだけれど、そうだよな、戦争って政治だよな、と改めて思いました。

日々の生活が政治と不可分であるなら、政治と戦争が不可分であるなら、俺たちの生活を本当に注意深く扱っていかないとあっという間に戦争になりうるし、科学や技術の分野それそのものはただの結果であったとしてそれをどう扱うかは人間側に委ねられているのだぞ、という認識が欠如するの、本当に簡単だし自分から遠くなればなるほど無関心になっていくから、ああなるんだろうな。

いままで映画を観てきてスクリーン上でえがかれていることに対してやるせなさとか怒りの方向で涙が出たことなかったんですけど、原爆を落とす都市を選定しているシーンと実験の無音で上がる火柱のシーンだけ、いままで抱いたことなかった感情の、多分あれは強い怒りであったり自分自身が彼ら彼女らと同じ人間であることへの強い嫌悪だったり、とにかくそういった物凄く強くて物凄くネガティブで、それでいて生きていく上で俺や俺の大事な人や俺の嫌いな人間にも俺が思う大事な人たちがいるのかもしれないという可能性を忘れないために楔のように自らの中から決して失ってはいけない、錨のような感情で涙が出ました。
あの〜〜〜〜〜本当にここは言葉を砕かないと全然なんにも言いたいこと言えないという自分の未熟さを全面に出した上で書く段落なんですけど、ま〜〜〜〜〜〜〜じであの選定会議でそういう発言があったのだとしたら本当に本当に嫌です。うるせ〜〜〜〜〜〜1!!!!!!!!!!!!!!って大声出るかと思いましたからね。目の前にいたとしたら拳の中に石握り込んで全力で殴りますよあの人のことを。ただこれは「そこにいる人間たちのひとりひとりを知ることはできないし、知ることはできないから人間を数として扱える」という本当に大切なことがえがかれているシーンでもあるので、どのみち心に刻まなければならない。

これはたびたび言っているんですけど、まずもって世界の大前提として自他を傷つけていい正当な理由なんかひとっつもこの世にないんですよ。理性があるのであればいっときの衝動性なんかに身を任せている場合ではないし、理性があることは人として大事な心を失うことでもないし、他人になにかの破壊衝動を向けたときそれが己に同じ力かそれ以上の力でかえってくる可能性って100%いつなんどきもあるので。自分と他人の区別がついていれば自分と他人は別の個体であってなにひとつそこにお互いを傷つけていい理由がないことはわかるはずなんですけど、そしてそれを文化と呼んできたんでないんですか、という問いかけなのですけれども。
実験が終わったあとの土地を先住民に返すとかさらっと言ってましたけど、それも被爆云々の話を知っている側からすれば最悪も最悪で「最悪…………」って本当に口から飛び出すかと思いました。最悪のフルコース食べてんのか?胸焼けがすごいが?

ただ、表現としてすごいなと思ったのは実験成功後の演説会場で喝采に混ざった本当の悲鳴(なんか一際あの声だけ違うな、という「キャーーー!!!」っていう恐怖とかそう言った方面からの絶叫があった)と、階段上のベンチ(っていうんですか、観客が座る側の……)から人が軽くジャンプしながら飛び降りてオッペンハイマーの方を叩いたりする最後にドサっと右側の方に落ちたのはあれ黒焦げの死体ではなかったですか。これは俺の見間違いかもしれないけど、その前にオッペンハイマーが足元で踏み壊した真っ黒な空洞のひとがたのものと同じ色をしていた気がする。

俺自身について、祖父は二人とも徴兵の年に終戦したのと体が小さくて兵役に合格しなかったのとで戦場に行かずに済んだ家系で、祖母はまだ戦時中のことを思い出すからさつまいもが嫌いなのは知っていて、ほんの少しの食料を兄妹で取り合って殴られたりした話を聞いたことがあるくらいで、全然戦争から遠いところにいる家で生まれて育って、触れたのだって歴史の授業でくらいで、修学旅行は沖縄だったから当然ひめゆりの塔は行ったのですけれどじぶんごととして捉えられたかというと人生経験のなさから全然ピンときてなくて、それでも広島に船を見に行ったときに原爆ドームを見て心臓がぎゅっとなったし原爆ドームを背景に笑顔でピースしながら写真を撮ってる観光客の感情がまったく理解できなかったことはあるんですよ。
他人の考えていることなんか他の誰にもわからないし、だからこそ何を言わずにいるかの選択が重要になってくる人生というもののなかで物は言いよう大スペシャルをやるのが政治で、それは日常生活を地続きなので、どっかの知らん誰かは俺たちをどっかの知らんただの数として扱うことが容易に平易にできるのだから、そっちに世界が向かおうとするなら俺は全力で拳を振るうしかないな、物理的にじゃなくてそれ以外のすべての人道に則った方法で。

無知であることは、ああやってただ数えられるだけの存在になるのだ、という自戒を新たにしました。全然なんもまとまらないね。時間が必要だ。
畳む
つらつら
映画感想:形あるものはいずれ壊れる、諸行無常映画「ウィリーズ・ワンダーランド」。
誕生日おめでとう。#映画感想

ニコラス・ケイジが一言も喋らないホラー………いやこれホラー…ホrッ…………???????映画、「ウィリーズ・ワンダーランド」、観ました。もともと「コカイン・ベア」をおすすめしてくれた職場の先輩がにこやかにすすめてきていたので気になっていました。なおこの先輩は「キラー・ナマケモノ」の公開日に有給を取るタイプの人間。

ホラー映画のよくあるやつを踏襲しつつ主にウィリー側への「ど、どうして………」が絶妙な塩梅で振り撒かれていてすごい好きでした。生きている人間が一番怖いパターンでありつつ、もはやいまの器が無機物なので無機物勝手に動くタイプホラーでもあって、美味しいところをたくさん盛り込んでいながら一つのきちんとまとまった味になっているのいいですね。
ホラーの現場で情事に及ぶカップル、あれは絶対になければならないものなんですか?って爆笑しちゃった。本気の条件反射で大きな笑い声をあげたので、劇場で観なくてよかった。でもキャシー、一番良い子やったやんけ……やたら行動がいちいち色気に満ち溢れているだけで……いやでもまあ…急におっぱじめられる度胸があったといえば………………いやわからん……あとお腹冷えるからもうちょっと長いスカート履くか腹巻きしな。お腹冷えるから。内臓を冷やすな。

リブがウィリーと合流してからずっと「いままでの自分の人生はなんだったんや………」の顔しているし、そりゃ自分の人生を大きく変えた現象に対してあれだけ淡々と対処されたらあの顔になりますわな、と思うし、恐怖を克服するにはそれを上回る恐怖が必要なのだという真理を急に突きつけられたらそりゃ………一番かわいそうなの、リブかもしれんな。たぶんあのニコラス・ケイジ、どっかでキアヌ・リーブスの顔した黒スーツのエクソシストと同業だったりすると思います。一般人の拳があれだけ弱くてどうして一般通過ニコラス・ケイジの拳があんなに強いんですか。

リブの仲間たちも急に大所帯になったなと思った次の瞬間から急に大所帯じゃなくなるのでそのスピード感とスナック感覚に手を叩いて大喜びした。事前情報なんにもなく観たんですけど、ジャンルがアクションコメディホラー映画なんですね、なんだその牛丼大盛りセットにお味噌汁と卵焼きつけちゃおっかな、烏龍茶大きめのやつでみたいな俺の大好きなジャンル名は。好きだな………フィクションでしか許されない人死にと暴力を見て元気を出そう!キャンペーンがあったら真っ先にエントリーされる映画です。元気が出る。

思えば与えられた仕事をきちんとこなし、自主的な計画性のもとで動き、休憩の重要性を理解しながら決してその場にある以上の楽しみを求めず(単に短期的な射幸性に強く依存している可能性もなくはないが……)、不規則かつ断続的に発生する不測の事態への対処ができ、提示した報酬を与えれば余計なことをしないという従業員、貴重ですね。俺は雇わないけど。

死は再生なので死んだ人間どもも殺した人間どももちゃんとあの場で死んでよかったね、って思いました。誕生日おめでとう。いい映画です。
畳む
つらつら
映画感想:「アーガイル」を見て現実と虚構の区別をつけよう。
事前情報ほぼないまま観に行ったら入場特典をもらえた。ねこがかわいい。ねこです、よろしくおねがいします。すべがネタバレ。#映画感想

冒頭の文章は全然意識せずに書いたんですが、よくよく考えてみればだいたい「いまはSafeになったSCPに対するカバーストーリーってこんなかもな」というような全体的にポジティブはっちゃけそうはならんやろなっとるやろがい映画でした。め〜〜っちゃ好きです。あと創作をやっている人間に刺さる要素が多すぎて中盤以降ほぼずっと劇場じゃなかったら手叩いて喜んで爆笑しながら泣いてた。何回か大きめの「だっっっははは」が漏れた自覚はあるので平日昼間の人が少ない劇場、𝑻𝑯𝑨𝑵𝑲𝑺...これは本当に。

いままでのフィクションスパイ映画によくある(あったか?)、モチーフとしてはだいたいやりつくされた要素を「あ〜〜〜〜〜なるほどね〜〜〜!!!!!!」にちょうどよく落とし込んでくるバランスと、映像でみせることの最大限の活用と、「わかるそういうの俺たち全員好き」が全面に出てきていて本当によかったです。俺だってヘンリー・カヴィルの顔したイマジナリー・自己を記憶を失った状態で内在させてことあるごとにお伺いを立てたい。あんなヘンリー・カヴィルの顔したイマジナリー・自己がいたらこの世のだいたいのこと全部自己肯定で乗り切れる気がする。

善性、人間の善性、その性質が記憶によらないという解釈、めちゃくちゃ助かりました。そもそも俺は性愛が限りなくない性質で生きているので、恋愛映画とかは性愛強すぎる人間大博覧会で「そういうのいいです」になっちゃうんですが、「アーガイル」には善意と悪意と強く主張されない(「恋愛感情ってこうでしょ?」という押し付けを少なくとも俺は感じなかった、だからその辺を摂取したいひとにはとてもさらっとライトで物足りない部分としてうつりそうな)恋愛感情とあとはひたすら爆発と爆発と爆発があったので大変良かったです。
お前はフィクションで盛大に爆発があればだいたい喜ぶだろ、というご意見に対しては真面目に正座しながら大いに頷くところですが……はい……好きです………だから「アーガイル」も好き………。

終盤、敵組織のアジトがでっっっっっっっっか原油タンカーなの嬉しくなりすぎて「だ〜〜〜〜っっっはっはははっはは!!!!!」って本当に口から飛び出していったので理性が追いつきませんでした。原油の海でアイススケートをやるな。なんだそれは司先生が見たら泡吹いてひっくり返るぞあそこ(超絶おもしろフィギュアスケート漫画『メダリスト』を読んでください)
そんでもってそれを全部爆破するのはやめてくれませんか!!!!!!!!!!!!!やめれ〜〜!!!!!!!!!!!って方言が思わず出ました。やめてくださいその規模の原油タンカーが会場でその規模の爆発をすると周辺海域がとんでもないことになるんです!!!!!!!実際あれ航行海域によっては公海の場合どこの国の対処も間に合わなくて本当に地球が最悪になるので……本当にそれだけは…………ちょっとツイートした「船のオタクなので助かった部分と船のオタクなので助からなかった部分があり」の、助からなかった部分です。助かった部分はでっかタンカーが拝めたこと。あれ途中に映った救命浮環にIMO番号と船名がっつり書いてあったけど実在船なのか…?実在船を滅ぼせるのか……?が気になって終盤のめちゃくちゃいいシーンなのに気持ちが浮ついていました。
でっかタンカーの甲板、あまりにも船長がありすぎるために消失点が発生するの、良かったです。

大ヒットスパイ小説シリーズがまさか著者が強い催眠(マインドコントロール)によって記憶のすべてを敵組織にいい感じに乗っ取られて過去の任務などについて自分のリサーチに基づいたフィクションを書いていたと思ったら全部事実で〜〜〜〜す!!!!っていう小説家に対しての最悪の「現実と虚構の区別つけろよ」を地でやるの本当になんなのだ………あと制作にAppleが噛んでるの全然知らなくて随所にApple製品出てくるのめちゃくちゃ笑っちゃった。俺はAppleというメーカーに複雑な愛憎を抱いています。「マーダーボット・ダイアリー」期待しているからな。
現場に赴くエージェントにはiPhone 13 Proがお似合いだよってか!!!でもあれヘンリー・カヴィルとジョン・シナの持ってたサイズ完だからPro Maxの可能性もあるんだよな……でっかサイズスマフォがちっちゃサイズに見えるでっかさの人たち………。いいからiMac27インチ復活させてくれiMac24インチでカラバリ増やしとる場合か。話が逸れました。作品全体を通してなんか呼吸が楽だったの、Apple関わってるせいかな………と思うと感謝もありつつ「とはいえ作品にそこまで意見言える立場に御社がいるの嫌だ」にもなり……いやこれ完全に話がそれますね、はい。やめます。

事実は小説より奇なり、現実と虚構の区別つけろよ、俺が先に思いついてたそのアイデア、でも。あたりが主題の大きな部分なのだけれど、これは俺が創作をやっているから抱く感想なのかもしれないけど人間の記憶なんてあいまいだしもしかしたら自分の考えていることは全部他人に読まれているのかもしれないし両親は全然知らない人かもしれないし(まあ生まれる前のことはどうやっても知り得ないので全然知らない人ではあるのだが)なにを信じていいかわからないとき己のフィジカルの強さで生き残ることはできるし、そして人間の魂の善性は、それはすべての根底にあるものだからその上に発達した感情や経験値や現状やたとえ荒唐無稽であったとしても他人にねじ曲げられた習慣やそういったものを凌駕して、他人の頭を踏み潰さないという選択をさせるんだ、という、最後のその着地点、本当に本当に助かりました。
俺は人間の魂の善性をそれなりに強く信じていて、だから余計にそこを手放さずブラさずにいてくれたの、嬉しかったな。好きな映画です。お行儀のよい「キングスマン」って感じ。ところであの最後の急に出てきた「キングスマン」という名前の店、あれは別のスパイ映画と関係あるんですか?作品の例えで他作品の名前出すのあまりしないように心がけていたのですが、こればっかりは作中に出てきてしまったので言及せざるを得ない。

とにかく人間がはちゃめちゃになっているさまを観て元気になりたいときか、はちゃめちゃな爆発を見て元気になりたいときに俺は爆裂におすすめします。
畳む
つらつら
今後のイベント参加のこと

Twitter(頑なにこう呼ぶ)の方では少し言ったんですが、今後、少なくとも2024年に参加するイベントをコミティアに絞ろうと思います。
理由はいくつかあって、擬人化王国とコミティアの開催日程が近い場合(最悪隔週とかになる)に宅配搬入の都合や、単純に体力の回復具合、仕事の休みが取れるは取れるけど有給日数の残りをギリギリしながら気にしつつ……などの細やかなストレスを一切合切放り投げてみようと思ったためです。

おそらくではありますがもともといわゆるコロナ禍(この言い方なぜか微妙にずっと好きになれなくてCOVID-19とかたくなに呼んでしまう)でずっと溜まっていた細やかかつ無視できないものが、ここ最近の活動の再開とともに整合性が取れなくなってしまい、一次創作より二次創作に傾いていたりしたこともあってご覧の通りこのサイトもサイトと言いつつ映画感想ブログみたいになっています。みすでざにもよくわからない話をぽつぽつと投げているし。

ここらで少し活動量を減らしてもいいのかな、と個人的には思った次第で、なんとこの文章を書いている人間はこうと決めてからの行動力と速度が爆裂に速いことで有名だったりします。ここにそう決めたから、そうします。本当にそれだけ。とても元気にやっています。
つらつら
映画感想:いいから飛行機に乗る人間は「ロスト・フライト」を観て衝撃防止姿勢の大事さを学べ。
そして姿勢を取れ。姿勢をとらなければ何も始まらないから。#映画感想

ベルト着用サインの重要性とそれを遵守する大事さと緊急着陸した機体からすぐに離れるべき理由が全部いっぺんにお出しされるので実質「ロスト・フライト」は飛行機の緊急時の安全ビデオと言っても過言ではない。明らかに過言。いやでも言い切れないよ?!な映画でした。

いろいろな映画にありがちな「実はこんな秘密が」とか「国家の重要ななにかが」とか「主人公の衝撃の過去が」とかそういうの全然なくて全部実直にこれがこうでこうだからこう!!!!!って話が進むので大変良かったです。
なんでいちLCCの危機管理担当が傭兵集団にコネクションがあるねん、と思いましたが公式サイト見たら「外部から元軍人の」というくだりがあったので着席しつつ、だからなんでいちLCC会社に元軍人の危機管理担当へのコネクションがあるねん、とは思ったけど真っ当な人間をやっていて良かったです。
みんな、新年なのに仕事してえらいね……という一般社会人(元旦は店が休みだから強制的に休みだが、大晦日も二日も仕事があるタイプの接客業)からの変な連帯感がありました。使っている端末がほとんどWindows端末(Dellとsurfaceはあった)だったのに現場にはiPadが配られていて、あの会社のIT部門のひとめちゃくちゃ大変そうだなって思いました。ファイル共有とかいちいち文字化けしてそうで大丈夫なのかな。あと機長さんの使っていたiPhoneはおそらくiPhone 13 Proです(気持ち悪い特定)、娘さんはPro Max使ってるあたり、かわいい(???????)一緒にApple Storeに買いに行ってくれ。かわいいから(??????????)
細かいところなんだけど新年前後のフライト、管制塔とのやりとりでも機体側と管制官の間でお互いに「Happy New Year!」とかが飛び交うのでちょと期待したがそんなことはなかったですね。あれも場所と人によるからね。かわいいね。

冒頭、サーフボード抱えて「遅れちゃう〜」って言ってた乗客の二人の後ろから「遅れちゃう〜」って機長が小走りで駆け込んでくるのギャグすぎてめちゃくちゃ笑っちゃった。LCCとはいえ機長は定刻で来てくださいな。おもろすぎて劇場じゃなかったら手叩いて大声出してた。
でもだんだん「余計なことをした人間から死ぬ」とか「誰もいないと思ったところで急に後ろからくる」とか、ホラー映画の文脈になってきたので実質ホラー映画だったとしても過言ではない。過言。はい。
PG12なのはあれですかね、首が…落ちるから………?直接見せないけど、引きずられていく遺体からぽたぽた血痕が等間隔で滴るさまとか良かったですね、映像での説明がうまい。

俺は無機物のオタク飛行機部をちょっと駆け抜けてるので、なぜ緊急着陸時に燃料を投棄するか、また飛行機の燃料は両翼に積まれているということを知っているし、着陸して機体が停止した後に急いで離れる必要がある理由も知っているんですが、事前情報なしにあれを見たひとたちがちゃんとその辺を全部わかるのかという疑問を抱いたけど、すごく自然にさらっと短いセリフで提示されていて映画作りがうまい……になります。
回収できないくらいの余計な話が広がらなくて、その場その場の緊張感もしっかりあって、機長さんが初めて人殺しに加担した(その前に乱闘で首を絞めていましたが……)あと「あ〜〜〜〜〜〜〜〜」みたいに葛藤しているのも短いながらあって良かった。
最初は静かに語尾が消えていたファ………も中盤からしっかりとFからKまで発音されていておファック部お嬢様たちの可憐な言葉遣いが堪能できましたね。にこやかになりました。これはツイートもしましたが、俺は全然英語喋れん人なので、あんな状況で銃突きつけられてジェラルド・バトラー顔の人に「英語!喋れるか!!!」て叫ばれたら「ミ゜~~~~~~~~~~」って高音を喉じゃない場所から出すことしかできないのであの人は頑張りました。死んだけど。ハズフォールンシリーズでもあったな、あれ。あと余談ですが俺も接客時にお客様から「英語……話せる……?」って聞かれた時「リトル!!!!!!!」って元気に答えるからより他人事ではなかったのかもしれない……ちょとしか…しゃべれない……聞き取りは……ややできる……………。

現地(?)のひとの英語も多国語話者が最低限必要に迫られて学んだ英語って感じで大変良かったです。謎の言語部分に反応するオタクだから……それで言ったら冒頭のデレと貴重の出身地やりとりもアイルランドの人だから香港出身者とブリテンこき下ろし調で喋って許されるのか……?という感じでこれは笑っていいのかわからなかったところですが、ちょっとおもろかったです。俺は得てして考えすぎ人。

あと武装組織のリーダーが、身内を殺されて嘆くのに身内の枠を出たら何一つ人間に対しての態度してないの、一貫して井の中の蛙でよかったです。申し訳ないが機長一人で揺さぶれるのはせいぜいがその会社くらいであって、その会社もアメリカという国からはおそらく切り捨てられるし、アメリカという国は機長一人の命についてはその判断を迫られたら切り捨てるよ。
それを把握した上で「世界が俺に従う」といっているならあまりにも知っている「世界」が狭すぎるし、過去に複数回の成功体験があったからああいう身代金目当てのことを続けているのだろうし、政府当局へのつながりもあるのであればきっと累積の金額はそうとうなものだったろうし政府要人も何回か攫って殺しているんだろうなあ……そういう小さな痛手の積み重ねで現状を維持し、徐々に自分達へ都合のいい金や武器の周りを積み重ねていっている途中で肥大した人間の振る舞いがあってよかったです。
その中で「自分の身内の喪失が、他人にも同じように起こり得る(そしてそれを引き起こしているのは己である)」という認識が欠如してるの、ああいう治安と倫理の終わった地域を統べる位置にいる人間として必要不可欠な認識欠如要素なのでそのあたりも満面の笑みでました。細かいところの解像度が高すぎる。

全編通して一番頑張ったのは飛行機くん、次に仕事したのが黒電話くん(死んだ)、一番大事なのは飛行機に乗ったら安全のしおりを熟読し非常口の位置を確認し、非常時には乗務員の指示に従い、衝撃防止姿勢をとり、己の荷物については見捨てる覚悟をし、いざというときに己の身一つで走り抜けるというフィジカルの強さであるということが改めて確認できる、いい安全確認映画でした。生き残っていこうな。
畳む
つらつら
映画感想:「ゴジラ-1.0」の端数の部分。
※観たのは2023/11/9です。
事前情報は劇場でかかる予告映像くらいで、特にゴジラシリーズ全般もあんまり知らず(なんなら怪獣映画は「モスラ」シリーズくらいしか知らん。あとガメラ)、「シン・ゴジラ」とモンスターバースの「ゴジラ」シリーズを履修している程度の人間の感想。#映画感想

今回のゴジラの造形、背鰭がウニみたいにとげとげしてて全体がむきむきむっちりで可愛かったですね。俺はすいませんがだいたいの特徴を総合して「かわいい」に収めがちなのでその辺が合わない人はこの辺でこの文章を閉じていいです。

エンドクレジットに推し官公庁たる海上保安庁の名前をありがとう!!!!!!!!!!!!!!ってエンドクレジットで一番良い笑顔出しました。いえあの、予告の時点でも海図だなこれ……みたいな投影がちらとあったので、欲を言えばその辺でちょろっと気配でも出てくれないかな〜、まあ戦後すぐくらいの話らしいので1948年(昭和23年)発足の海上保安庁はまあ出なくてもまあ………みたいな未練ですらない淡い気持ちでおりました。ら!!!!!!!!!!!ちょっと!!!!!!!!!!!!!!名前!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
本当にありがとうございました………途中、ゴジラに向かう最後の作戦会議で机の上に広げられた海図の左下端っこの方にめちゃくちゃ印鑑いっぱい押してあったのふふ……になりました。あれ、海洋情報部の展示で見たことあるなあ………、記憶が捏造されているのかもしれないけど、機密の度合いとかも基本は判子で示されるのでね……ふふ……………ともあれ、クレジットに名前ちゃんとありがとうございました。

あの世界、海上保安庁発足するのかな。もうなんていうか官公庁がそこそこあった一帯がだいたい壊滅しているんですけど大丈夫なのかな。そもそも海上保安庁の発足も北九州あたりでの密航や密輸入が度を越してきて(海軍解体により海上警察機構が公的には滅んだため)やばいね、ってなってGHQが「なんとかしんしゃい」て言ってきたところから始まるんですけど………。
あと海保のオタクを浅瀬でちゃぷちゃぷながらやっている身としては海保発足後も海軍出身者と海運(民間)出身者でソリが合わなくて大変だったみたいな話をよく聞くので、あの人たち全員海軍出身者だしそれが「民間」って言い張ってるのをなんともいえない顔で見ていた自覚はあります。あの…………あなた方を民間と言ってしまうと最後の方で来てくだすった曳船のみなさんの…立つ瀬が…………………でも水島くん以外、特に曳船隊の人たちがゴジラに敬礼してなかったのはよかったですね。

というかあの敬礼も全然意味がわからなくて「????????」だったんですが、あれは海軍のことを知ってたりするとなんかわかったりするんですか?最初から最後まで理不尽に踏みにじられた敵側だったじゃん……?それとも米軍の艦艇も沈めてくれたから?それなら人間最悪性がすぎるし政府に人のこと言えんが……それとも初代からシリーズを踏襲していたらわかるものなんですか?全然わからん……ゴジラ自体もビキニ環礁での実験で巨大化した?のか?という推測はできるけどそれより前に存在して元気にやっていたし、小笠原諸島とビキニ環礁だいぶ遠いですが……みたいなこう……たぶんこの辺は初代シリーズからの履修が必要な気配を感じています。なんというかこのあたりは俺があの作品におけるゴジラの意味合いと立ち位置を全然把握できていないからな気がする。
基本的にすべての怪獣事象は自然現象と同じだと思っていて、人間のことわりではまったく関係ないところから急に出てきて通過していく、その通過に人間が巻き込まれているだけという前提でいるのでこう…人間とゴジラ……みたいなところを把握するのにあまり良い視点じゃない自覚はあります。

これは某所でも言ったんですが、生き残ること・生き延びること・誰も死なないことをテーマの中心に据えているのは良いのですが、だからといってじゃああれだけ壊滅的な被害を受けたそこに巻き込まれたヒロインが生き残っていて、それ以外の無名のひとたちが生き残っているかどうかを完全に不明にする意味ってなに……?になりました。全然わからん、俺はゴジラのこともこの作品のことも全然わからん。
常々、人の生き死にの軽率さはフィクションでしか許されないから……!って大喜びで手を叩いてますけどあれは生命が軽んじられるのを楽しむことで「現実ではこんなこと一個もやっちゃなんねぇ……」って強く決意を新たにする運動みたいなところがあるので、あの最後の首筋のアザ?みたいなのの意味とか意味深な続編にいけそうな余白とか、全然こう………ときめかない………ときめくに足る要素が全然なくて……もうちょっと考察の余地の断片をくれ……情報をくれ………………。
本編の考察を深める余白がある作品も多々ある中で、今回の場合はその余白がいわゆる工業製品における無駄なバリみたいな意味での引っ掛かりしかなくて「ヒロイン生きてるならなんかもっと生き残ってもよかったろ市井の人たちがよお!!!!!」ってなりました。でもあんなミッション・インポッシブルみたいなことさせられてたヒロインすごいね。頑張ったよ、あれできるのトム・クルーズくらいだと思ってた。そんなことはなかった。話がそれました。

ヒロインと主人公が軽率に恋愛でくっつかなかったの、恋愛感情じゃない人間同士の生き残りあいだ〜って嬉しくなってたんですけど、中盤で結婚の話が出てきてて「うへ……」になりました。あの、異性との結婚が人生のゴールの一通過点になってる世界観はわかるんですけど、別にそうしなくても今まで生きてこられたのをいまさら……?みたいな、これはおそらくを通り越してほぼ確信的に俺が世間一般で言う(異性)結婚によるあらゆる法的な何かの庇護下に入らない立場だからですけど、なんかこう……うん、まあこれは俺の話なので良いです。別にあの昭和の世界でそれをやれって言うわけじゃないしね。あのときは、そして今に続くまでずっと、近しい感情のある男女は結婚を視野にいれるもんだんだよな……うん。怪獣映画を観にきて人間がごちゃごちゃやってると「はよゴジラ出てきてくれ」になってしまうのは悪癖です。よくないです。はい。あとそれで言ったら敷島の家の表札が「敷島」だけで、お隣さんの太田さんちが「太田澄子」ってフルネーム表札なのも「おわあ」になりました。敷島の家は敷島とそれ以外(でも「敷島さんのところ」に内包され、無視される「大石」典子)で、太田さんちは太田さんしかいないのだ…………太田さんも最後の良心を見失ってなくてよかったね…表に出す感情のバランスがすごくよかった。

終盤で急に水島くんがハシゴ外されて「俺も乗せてください!!!!!」って叫ぶシーン、大変よかったですね。あのときまで水島くん自身は「戦争帰り」という共通言語を持った人たちに「いさせてもらっていた」ことを急に突きつけられるのでその傷つき、よかったです。
あと敷島が「俺の戦争はまだ終わっていない」って言うの、「ゴールデンカムイ」で見たやつだ……になります。結局、あの人たちは戦争に行って帰ってきたと言ういくつかの境界線を跨いでいるけど、残ってた(残らざるを得なかった)ヒロインや太田さんはずっと日常の延長に戦争があって空襲があって……をやってきていて、たしかに「あの日」「あの夜」などの区切りはあるのだろうけどここからここまで、という境界線を明確にするのは難しくて、その辺の齟齬……齟齬だ…………になりました。ここでいう境界線というのは例えば「引き揚げ船に乗った」とか「日本についた」とか「飛行機が離陸した」とかそういう明確な自分ごとの事象(自発的な行動)によって起こったものを言います。「戦争帰り」という共通言語、めちゃくちゃ概念としてはいいな、と思うんですけど自分では真正面から取り組もうとは思わないですね……。

そんで最後のさあ……曳船さんたちがいっぱいくるじゃん………あそこで全然大型の船がいないのよね……でっかい船、だいたい徴用されて沈んでるか引き揚げやってるからいないんだろうけど……その辺がぐっときてしまい、ぐっときて………そんで全員に明るい希死念慮があって、ぐぅ………となります。何かの大義名分のために死ぬことへの気持ちよさ、憧れって人間どうしても抱いてしまうし、それを強制させられてた人間たちの戦後なので、それはそうという感じで奥歯を噛み締めてしまうね。

ゴジラさんの背中が青く光って、熱線を出すときにぐっと押し込まれるギミック良かったです。もっといっぱい言いたいことあるんだけど、とにかく時系列と作中の時間帯がわからなくてせめて夜明けの話してるなら日の出のカット二秒でも入れてくれ……になりました。その辺の情景説明(言葉がいらない)がうまい映画を最近いっぱい観たから、観客としての勘が鈍っているのかも知れない。
畳む
つらつら
映画感想:「ザ・クリエイター/創造者」に見る人間は愚か!滅ぼ!の欲求。
タイトルの通りです。全てがネタバレ。言いたいことがありすぎて何にもえいてない。#映画感想

本編に関して言いたいことがめ〜〜〜〜〜〜〜ちゃくちゃ膨大にあるんですけどそれよりなによりすべてを差し置いて一個だけ言わせてもらって良いですか?500ポイント太字のなんならイタリック体で書いてあると思ってください、ここから下。

一瞬で100万人も死ぬような最悪核兵器を、ニューヨークとかいう人口密集都市のど真ん中で開発すな!!!!!!!!!!!!!


すな!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

フォントサイズの調節ここまでで大丈夫です。
いや〜〜〜本当まじであの、そう、冒頭からそのツッコミを誰もしてなくて、もしかしてそのときのニューヨークは人口過疎だったんですか?って思ったけど繰り返し繰り返しものごとの始まりとして膨大な人間の死者が……という情報をお出しされるので「そもそこの立地に決定した人間がバカだが?????????????????」しか出ず……なに………?止むに止まれぬ事情とかあったの?ニューヨークでしか産出されない希少な鉱石とか出たんですか?
途中でケンワタナベが「あれはAIのミスではなくコードミス、ヒューマンエラーだ」みたいなこと言ってましたけどそもそもそこで開発研究を進めようと決定した人間のエラーに決まってんだろうが………になっちゃった。たぶんそれを人間側もわかってるからAIのせいにして分断を煽りたいんだよね……いや知らないけど……もう冒頭からその調子で人間がすべて愚かですが立て続けにお出しされるので、常々日常生活内にうっすらとした希死念慮に近いけど何か違う「そろそろすっと消えて無くなってしまいたいな」の欲求がごりごりに刺激されてしまい、そういう欲求がある人は観るタイミングに気をつけないと安易に引っ張られます。俺がそうでした(昨日の気圧の余波で体調がよくなかった)はぁ……はぁ………人間が………愚か…………。

話の内容はありがちと言っていまえばそうなのかもしれないけれど、あれを「ありがち」に収めるにはあんまりにも人間愚かすぎて人間が次世代を残すのは自分たちの壊した生態系を可能な限り回復させて綺麗に後始末して片付けて一斉に滅びる準備をするため、みたいな執拗な人間の愚かさがあって、お、おわあ……おわあ…………ってずっと言ってました。
愛とか絆とかね、そう言う繰り返されて擦り切れたようなうすっぺらいものではなくてね、もっと人間の行動対行動による愚かさと愚かさのぶつかりあい、奪って奪われて自分自身から奪い続けて相手の肉体も魂も傷つけて記憶はちゃちな記憶媒体にコピーされて、最後に「死ぬ」ときも己の肉体から無理やり引き剥がされてボロボロの再生機みたいな中で死を自覚するんですよ。
人間にしかできない愚かさの極まる残酷な行為、誰も彼も自分勝手で他人のためにという過信を振りかざして子供をひとりぼっちにする、そういう、でも、それでも愛してるよっていう言葉を別れの言葉に選ぶときの本心は本当で真実でかけがえがなくて、天国で、会おうな………俺たちは……天国で…………………。

これは最悪IFのことなんですが、本編後、結局アルフィーは人間もAIも愚かで滅ぶべきという思想をうまく隠して人類が平等に全員せーので滅べるものをAIと人間で手を取り合って開発して(表向きは環境の保持や改善とか)自分の大切な人を奪った軍人たちや軍事企業関係者をうまい具合に合法的な被験体にして(違法でやると天国へ行けないから。被験体のひとたちは悪人なのでわたしたちの天国にはいないはずなので)いっさいがっさいのすべてを綺麗に片付けたあと、地獄でジョシュアと再開して隣にはマヤもいて三人で「天国にしては変だな」みたいなこと言いながら地獄ではっぴ〜〜〜〜にこやか生活して欲しいです。

俺たちは全員天国に行けない。
畳む

散る散る満ちる。TOPに戻る